ジョコビッチらの擁護に押され「全英OP無気力罰金処分」のトミックが反撃提訴を準備?!
テニスのウインブルドンの男子シングルス1回戦で「無気力プレーで敗れた」として賞金と同額にあたる罰金4万5000ポンド(約610万円)を科せられたバーナード・トミック(26、豪州)が、罰金裁定を不服として主催者に対して提訴の準備を固めたことが6日(日本時間7日)明らかになった。複数の豪州メディアが報じたもの。 トミックは2日に行われた1回戦でジョー・ウィルフリード・ツォンガ(34、フランス)に2-6、1-6、4-6で完敗。試合時間は今大会の男子最短となるわずか58分で、主催者のオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)が「トミックのパフォーマンスは、必要とされるプロの水準を満たしていなかった」と無気力プレーを問題視して1回戦の賞金と同等の罰金を科した。複数の豪州メディアによると罰金の合計は、8万1000ドル(約890万円)に及ぶという。 豪州のオーストラリアン紙の報道によると、その処分に関して前大会の優勝者であるノバク・ジョコビッチ(32、セルビア)が「賞金を全部取り上げるのは公平ではない」と援護の声を挙げた。全米オープンで優勝経験のあるスローン・スティーブンス(26、米国)も「危険な先例を作っている」と呼応。同じく豪州のニック・キリオス(24、豪州)も「罰金の裁定はあまりにもひどすぎる」と裁定を批判した。 そして対戦相手のツォンガも「トミックへの罰金は私の勝利の価値を下げている」と主催者の決定を批判。 「まるで私がしたことが勝利ではないようだ。彼らは、トミックが十分なプレーをしなかったから、私が勝ったと言っているようだ。少しやり過ぎだと思う」とコメントしている。 これらのトミック援護の声が追い風になったのか、トミックは大会の規定に沿って罰金の裁定に対して取り消しを訴える提訴の準備に入った。
「疲れて気分がすぐれなかっただけだ」
オーストラリアン紙によると、トリックは「(ウインブルドン前に出場した)トルコでは40度の暑さの中で何試合か戦った。準々決勝で負けたが、疲れきって週末を通して気分がすぐれなかった。そして芝のコートでトップ5に入る選手の1人と戦って、2-6、1-6、4-6のスコアで敗れたんだ。0-6、0-6、0-6では負けてはいない。気分がすぐれなかったから、試合の最初からチャンスがほとんどないことはわかっていた。しかし、ウィンブルドンだからコートに立ってチャレンジしてみようと思ったんだ」と、無気力と判断された試合について説明している。 ただ、トリックは過去にも、数々の問題を起こして罰金を科せられてきた“お騒がせ男”で、2017年のウインブルドンの1回戦でもミーシャ・ズべレフ(31、ドイツ)に完敗した後に「コート上で飽き飽きしていた」と発言し、2万6000ドル(約286万円)の罰金を受け、スポンサー契約も解除された。2018年にも記者会見で問題発言を繰り返すなどテニス界ではトラブルメーカーとして通っている。 豪州の「ニュースドットコムAU」は「オーストラリアのファンたちは主催者による決定を支持している」と伝え、デイリーメール紙もトミックのニックネームが「蒸気機関車」であることを紹介した上で、「トミックは物議をかもす試合態度で良く知られていて、問題の試合では退屈そうにボールをほとんど追わない場面もあった。彼は、そのキャリアの中で何度かスポーツマンシップに欠ける行動を行っている」と指摘した。 前出の「ニュースドットコムAU」は、「ウィンブルドンの役員に対するトミックの戦い(提訴)が終わるまで先は長い」とまとめているが、錦織圭が、ベスト16進出を決めたウインブルドンの場外で、この問題の行方にも注目が集まっている。