千日前線は「セクシー」、今里筋線は「ネタ切れ」⁉ 大阪メトロの路線カラーの由来とは
地下鉄8路線、新交通システム1路線の計9路線を有する、大阪メトロ。各路線には異なるラインカラーが割り当てられており、駅の案内表示などもそれに合わせた色が使われていますが、その色が選ばれたのには理由があります。今回は、各路線の色の由来を探っていきます。 【色を比較】直通先の路線と車体の色が揃わなかった、ちょっと残念な中央線 ちなみに、9種類の色のうち、大阪メトロ公式の記録が残っているのは、長堀鶴見緑地線、今里筋線、ニュートラムの3路線だけ。他路線の色の由来は、あくまで「通説」なのだそうです。
今里筋線のカラーはネタ切れから?公式記録のある路線たち
まずは、公式の記録がある3路線の色の由来をご紹介しましょう。 ・長堀鶴見緑地線:黄緑色 鶴見緑地で開催された「国際花と緑の博覧会」のアクセス路線にふさわしい色として ・今里筋線:橙色 他路線と識別しやすく、暖かさをイメージする色として ・ニュートラム:水色 四つ橋線(青色)と接続し、海や風を感じさせる色として 今里筋線は、大阪メトロでもっとも新しい路線。「既存の8色と被らない」点は大切なのですが、それを前面に出すところ、思わず「ネタ切れかい!」とツッコミたくなります。ニュートラムは、路線の案内表示こそ水色ですが、走る車両の色が各編成で違うので、「水色の路線」という印象は薄いかもしれません。
千日前線のカラーの由来はセクシー!公式記録のない路線の通説
続いて、公式記録のない路線の色の通説を列挙します。 ・御堂筋線:赤 大阪の大動脈である御堂筋の下を走る路線であり、人間の動脈を流れる血液の色をイメージ ・谷町線:紫 沿線に寺院が多く、僧侶が着る袈裟の色をイメージ ・四つ橋線:青 御堂筋線よりも海側を走ること、そして大動脈の御堂筋線の赤に対する静脈のイメージから ・中央線:緑 自然が豊かな大阪城公園の近くを通り、木々を連想させる色から ・千日前線:ピンク なんば、千日前通りといった繁華街のネオンの色から ・堺筋線:茶色 直通先の阪急電鉄の車両の色に合わせて 難波、谷町九丁目など、千日前通の周辺にはセクシーな店が多数あるのですが、その下を走る千日前線の路線カラーに、それを想起させる色をそのまま持ってきたということです。セクシーな街にはセクシーな電車を、ということなのでしょうか。 堺筋線は阪急の車両と色を揃えており、ある程度の一体感を演出しています。一方、中央線と直通する近鉄線の車両の色は白色ベースにオレンジと、路線カラーの緑とはまったく異なるもの。大阪メトロ(開業時は大阪市交通局)は直通先の阪急に色を合わせたのに、近鉄には合わせられなかったという、ちょっと残念な二面性を見ることもできます。
余談ですが、大阪メトロの路線カラーは、交通局時代の1969年、翌年に控えた万博の開催を前に設定されました。しかし、当時は車両の色分けはなく、ラインカラーが入ったのは、1975年以降のことです。
井上拓己