「うつ病」は50代が危ない!男性ホルモンの減少が記憶・判断力の低下、疲労感・不眠・イライラ・抑うつ感などを招く
■ うつ病と男性更年期障害はかなり似ている たとえば、筋トレをしているのに最近は筋肉がつかなくなったと感じている人は、テストステロン値を調べてみてください。男性ホルモン(代表的なものはテストステロン)の分泌が少ないと、いくらトレーニングをしても、これまでのようには筋肉を増やすことができません。 また、男性ホルモンは判断力や記憶力にも関係しており、男性ホルモンの分泌が減ると、もの忘れや集中力、記憶力の低下や意欲減退が見られることがあります。 男性も、特に50代以降は疲労感や不眠、頻尿、ほてり、発汗、めまい、耳鳴りなどの症状に加えて、不安やイライラ、抑うつ感、さらにED(勃起障害)などが現れることもあります。男性ホルモンが減ってくると、やる気や好奇心も減少してしまうのです。 こうした男性更年期障害(LOH症候群)は、うつ病と症状がかなり似ています。 血液検査をしてホルモン値を測定すれば、うつ病なのか、LOH症候群なのかがわかるのですが、どちらにしても男性ホルモンを加えると調子が良くなります。LOH症候群もうつ病も男性ホルモンを足すと、意欲が出てきて症状が軽減する人が多いのです。 ですから、50代以降のうつ病の患者さんの場合は抗うつ薬だけでなく、ホルモン補充療法を加えたほうがいいケースも少なくありません。
■ 男性ホルモンが多いほど社交的? 実は、男性ホルモンというのは男性だけのものではありません。 若い頃は男性より圧倒的に量が少ないものの、女性の体にもあるのです。男性は主に精巣と副腎、女性は主に卵巣や副腎で分泌されています。 ただし女性の場合は、閉経して更年期が終わった後には男性ホルモンの分泌量が増えていき、むしろ70代以降は男性の分泌量を超えるほどになります。 女性が、更年期が終わった後に元気でアグレッシブになっていくのは、男性ホルモンが盛んに分泌されるようになるからです。 この男性ホルモンは人間の活動に大きな役割を担っています。 世界的な学術雑誌「Nature」に掲載された研究によると、女性に一定量のテストステロンを塗ることで、ボランティア活動や寄付への意欲が高まるという結果が出ています。男性ホルモン値が高く、また性欲の強い人のほうが、ボランティアや弱い立場の人を助ける気持ちが強いことがわかったのです。 また、男性ホルモンは社交性を高めます。 年をとった後もいろいろな人と付き合ったり、仲間と頻繁に遊びに出かけたりする女性が多いようですが、年をとると男性ホルモンが増える女性ならではの姿だと言えます。 一方、男性は年をとるほど男性ホルモンが減少し、人付き合いも億劫になって家に引きこもりがちになる人が多くなります。 男性ホルモンが減少すると筋肉量が低下しますが、外出しなくなって活動量が減ると、さらに筋肉が落ちていきます。 また、人間関係も希薄になり、記憶力や判断力も低下するため、認知症のリスクも高くなります。 やはり、いつまでも元気で意欲的でいるためには男性ホルモンが必要不可欠なのです。 特に50代以降の男性にとっては、男性ホルモンの量を維持することが若々しい後半生を迎えるカギになります。