【大間違い】成長途上の会社で言ったら一発で「無能認定」される言葉・ワースト1
「成長途上の組織で“言っても意味のない言葉”があります」 そう語るのは、転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さん。1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験を持つヘッドハンターであり、「現場」と「経営者」の両方の視点で、「圧倒的に活躍する人たち」と関わってきました。 その高野さんがベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた書籍『ベンチャーの作法』が刊行。発売たちまち重版し、“きれいごと”抜きの仕事論に、「若手のときに知りたかった!」「現代のビジネスパーソンの必読書だ!」と、SNSでも多数の感想が投稿されるなど異例の反響となっています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「成長途上の組織に必要な考え方」についてお伝えします。 ● 追い求めたところで「意味のない」もの 「仕組みがないからできない」と言う人がいます。 「今の仕組みはダメだ」 「こんな仕組みがあれば結果が出せるはずだ」 ないものねだりをするように机上の空論を並べ立てます。 ですが型や仕組みを求めたところで意味がありません。 ● 「型にできない」から生き残れる メガベンチャーと呼ばれる規模の会社を見ても、再現性があるとは言いがたく、経営者の異能に依存している会社も多いものです。 たとえばソフトバンク。経営者である孫正義さんはADSLやボーダフォンの買収、ビジョンファンドの設立など、次々と大きなことを仕掛けています。商社とも投資家とも言えるその経営手法は、孫さんだからできることです。 もちろん孫さんがいなくても経営は回るのでしょうが、これまでのような奇想天外とも言える快進撃や取り組みは難しいでしょう。 ファーストリテイリングも同様です。創業者である柳井正さんの手腕によって、山口県の小さな会社が世界規模のグローバル企業になりました。 もちろん仕組み化も進めてはいるのでしょうが、事業継承して経営をバトンタッチしようとするも、やはりご本人が戻ってきています。柳井さんの属人的な手法やノウハウに依存しているということでしょう。 型にできる仕事は、言ってしまえば「誰にでもできる仕事」です。 型にできないほど次々と新しいことに挑戦してきたからこそ、これらの企業はメガベンチャーとなり、今日まで生き残っているとも言えます。 ● 「型」の存在しなかったインテリジェンスの仕事 私がインテリジェンスに入社した際に配属されたのは、人材を求めている企業を探し、転職希望者とつなぐ現場の仕事でした。 現場社員は、IT、金融、医療といった業界や、経理、法務など職種ごとなど、いくつかのグループにわかれていました。そのなかで私が配属されたのは、そういった専門分野ではなく、「その他の全領域」を担当するグループでした。規模が大きい分、面白そうだと思って配属希望を出したのです。 ですがあとになって気づきましたが、このグループの仕事は現場のなかでもとくにハイレベルなものでした。 一般的に専門職での転職は、求める実績や必要となるスキルなどが明確なため決まりやすいものです。一方、私が担当していた多種多様な領域では、他業種への転職や採用を実現する必要がありました。結果を出すにはとにかく母数を増やすしかなく、成功する型などありませんでした。 当時のインテリジェンスのメインビジネスは派遣事業で、人材紹介の仕事は新規事業のようなものでしたから、ノウハウや成功例の蓄積もありませんでした。ですから私が社内の人に相談をしても、誰も答えを持っておらず、とにかく行動して、自らコツをつかんでいくしかなかったのです。 ● 「仕組み」を求めるのが大間違い 歴史ある成熟企業なら、すでにうまく回っている仕組みが存在するでしょう(とはいえ今の時代、過去の仕組みに頼っていたら大手でさえ危ういですが)。 ですがベンチャーのような成長途上の企業では、たとえ大企業であっても型や仕組みが存在しないことが多く、経営者がいなくなれば成長し続けることが難しくなります。 「型」や「仕組み」があって当然と思うほうが、間違いなのです。 (本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)
高野秀敏