移動平均線は下向きで「売り方有利」? 日経平均株価は「下落圧力」に負けてしまうのか
結果的に、2017年9月のFRB資産4兆4700億ドルは、2019年8月に3兆7600億ドルまで7100億ドル(約15.89%)縮小した。しかし、この量的引き締め下のダウ平均は、2017年10月の月中平均約1万8000ドルが2019年初めには2万6000ドル近くまで上昇している。つまり「株高とFRBの資産縮小は並走できる」ということで、FRBの資産縮小が米国株相場の終わりを意味するものではない、ということだ。
もちろん、その後2020年のコロナ禍の進行でFRB資産はたった1週間で約6000億ドル増などという異次元の増殖を含め、2022年4月には8兆9654億ドルにまで膨張した。そのため、2018年とは資産縮小の規模が違うと言えるかもしれない。 しかし、すでに現在は7兆2000億ドル台と1兆7000億ドル(18.96%)の縮小をしており、その中で株式市場が史上最高値となっていることも事実だ。まだ資産縮小は続くが、今回もコロナショック前までのように「さじ加減」(償還と再投資のバランス)を間違えなければ、FRBの資産縮小と株高が並走することは可能と考える。
一方、日本では今、日銀の国債買い入れ額の縮小が最大の注目ポイントだ。だが、FRBの例を見ればわかるように、問題ないと考える。 今回は若干横道にそれたかもしれないが、前回の内容が「6月の攻防戦も7月にサマーラリーの形で決着するのではないか」という趣旨で終わっているとおり、今はその様子見の時間軸の中にある。よって、結論も前回同様、「7月後半から8月前半に発表される4~6月期決算の円安による上方修正に期待するサマーラリー待ち」ということになる。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト