移動平均線は下向きで「売り方有利」? 日経平均株価は「下落圧力」に負けてしまうのか
もちろん「アメリカこそ、大統領選挙を11月5日に控えて『もしトラ』どころか『確トラ』(ドナルド・トランプ前大統領の有利が決定的になること)などと言われ、波乱があるのではないか」との見方もある。 しかし、アメリカは政権交代システムが確立しており、なんだかんだいっても政局不安で国が混乱し制御不能になることまでは考えづらく、次がジョー・バイデン大統領でもトランプ前大統領でも、アメリカの強さは変わらないという説が株式市場では有力だ。
■FRBの資産縮小の影響は? もちろん、肝心の米国株も、利下げの開始時期をめぐって神経質になっていることも事実だ。だが、前回も書いたとおり、結局はっきりしないこの金利水準こそが適温相場といえるのではないか。 ただ、金利水準だけでなく、FRB(連邦準備制度理事会)が同時に量的引き締め(資産縮小)政策を遂行していることを危険視する見方もある。 それについてひとこと述べると、ダウ30種平均株価はリーマンショック(2008年9月)後のダメ押し底(2009年3月の6547ドル)から、コロナショックを経て4万ドルとなる大相場を成し遂げた。
もちろん、筆者は過去形ではなく、まだ上昇途中であると考えるが、さすがに今はバブル段階に入っているとの意見も多くなっている。 この相場を生み出したのがFRBの大量資金供給による「カネ余り」であることは異論がないだろう。FRBが供給した資金は「FRBのバランスシート」として現れ、その額は8兆9000億ドル規模(約1400兆円)まで上昇した。今後、この資産が縮小するのも間違いなく、そうなれば株高の前提が崩れると考えることも当然である。
■コロナ前にFRBは資産縮小に成功、日銀も「問題なし」 しかしバランスシートの縮小策は、直近では2017年に実施されこともある。それほど遠くないことなので覚えている投資家も多いと思うが、月100億ドル規模の縮小から500億ドル規模へと1年をかけて縮小額を増やし、その後は500億ドルを上限にしてバランスシートを縮小していくという策だった。 具体的に言うと、2017年10~12月には月100億ドルで合計300億ドル、2018年1~3月は月200億ドルで計600億ドル、4~6月は月300億ドルで計900億ドル、7~9月は月400億ドルで計1200億ドル、10~12月は500億ドルで計1500億ドルとなり、その後は毎月500億ドルの縮小をコロナショック前の2019年8月まで続けた。