JR四国が空き家改装の宿、徳島・三好 鉄道が交差する街、活性化に貢献
JR四国が空き家を改装した宿泊施設を複数の鉄道の路線が交わる徳島県三好市で集中的に展開している。空き家が全国的に増える中、使われなくなった店舗や古民家を生かし、地域活性化につなげる狙い。四国内外への拡大も目指している。(共同通信=米津柊哉) 施設は簡易宿所の形態で、ブランド名は「4S STAY(フォースステイ)」。コンセプトの「暮らすように旅する」を実現するため、受け付けなどの運営は地域を深く知る移住者が立ち上げた会社に委託している。 徳島県最西端の三好市の池田地区は他3県に近く鉄道で周遊しやすい。JR四国は2018年以降、阿波池田駅から徒歩10分以内の立地にすし店、古民家を模様替えした2施設を開業。今年2月20日には和菓子屋を改装した3号店がオープンした。 付近の観光地を巡る一人旅の女性が多いことから、3号店は女性を主なターゲットにした。各8室の扉に徳島の名産品などを描いたマークをあしらい、写真を撮りたくなる見栄えを意識している。女性社員が企画に携わった。
JR四国によると、既存2施設の2023年度稼働率は50%程度で採算は取れている。古民家への宿泊はインバウンド(訪日客)の間で人気が高まっており、古い建物の活用はコスト面でも利点があるという。ただ、池田地区より先に開業した京都では、ノウハウ不足によって2年で撤退に追い込まれた。 JR四国は1地域3施設を目安に四国の他地域への展開を検討。経験を積み四国外への再進出も模索する。担当の戸梶美里(とかじ・みさと)さん(30)は「地域の課題解決と盛り上げを線路のない場所でもやっていきたい」と意気込む。