「クラス平均点を操作している」、高偏差値なのに進学不振な中堅私立高校と某名門校の差を知る教員の告白
若手いじめが横行、あいさつしても返ってこない職員室
こんな状況では、肝心な進学実績も伸びない。成績優秀者を授業料免除で入学させる「難関国立大学コース」には、中学時代の評定が「オール5」に近い強者が40人ほど集められていたが、最終的な難関大合格者はわずか2~3人だったという。 「教員が入試対策をできていないのも原因でしょう。『目指せ東大!』と言いながら、教員自身が東大の問題なんて解けないし、真剣に向き合ったこともない。ネットで情報を拾っているだけです。何をどう指導すべきか困った挙句、とりあえず宿題や課題をとにかく大量に出すので、生徒はそれに追われて予備校に行く時間もありません。その宿題も、東大入試にはとても出なさそうな内容ばかりで。『うちに入ったことで、せっかくの才能が潰れてしまったのではないか』と思う生徒がたくさんいました」 見るに見かねて、二階堂さんなりにこの状況を変えようともした。しかし、提案を投げかければ「いや、もう決まっているから」と跳ね返される。職員会議は参加者が多くて「報告会」と化しており、改善案の提示をできる場ではなかった。 「教員間でパワハラや若手いじめも常態化していて、相手の気分次第であいさつが返ってこないんです。先輩教員と同じことをしているのに、若手教員だけが厳しく叱責される場面も多々ありました」 ハラスメントに厳しい今、なぜこのような状態が成り立つのか。二階堂さんの話を聞いていると、どうやら一部の私立高校は買い手市場にあるようだ。 「教員不足と言われますが、1人の求人に対して50人以上が応募することも珍しくありません。正規雇用の専任教諭はなおさらです。しかも、私が勤務していた中堅私立は、教員を集めるために初任給を30万円超と高く設定していたので、人気があったのでしょう」 待遇が厚いようにも聞こえるが、新卒でも中堅でも年齢にかかわらず初任給は一律。その後の昇給額も月5000円程度だ。しかも、実態は1年契約の常勤講師で、声がかかれば3年目から専任教諭になれる仕組みだ。当然、3年目を待たずに契約を切られる教員が多い。また、学校をよく知る卒業生であれば、専門科目が多少違えど優先的に採用するため、既存の専任教諭にはほとんど新しい風が入らない環境だった。 「基本、生徒から評判のいい教員は疎まれます。私が授業評価調査で高評価をとった日から、同じ教科の主任から無視されるようになりました。また、授業が面白くて生徒に人気があった同僚は2年目で契約を切られ、翌日には彼の教科の求人が出されていました」