あと5年で定年を迎えます「再雇用は給与2割減」と言われたのですが、そういうものでしょうか…?
高齢者の雇用を確保する観点から「高年齢者雇用安定法」によって、事業主には労働者を定年後も再雇用などによって雇用を継続することが推奨されています。 しかしながら、給与収入を維持することまでは求められていません。今回は、高年齢者雇用安定法と「同一労働同一賃金の原則」について解説します。 ▼高齢者の「4人に1人」は働いている!? 平均年収はどのくらい?
高年齢者雇用安定法の概要
高年齢者雇用安定法は、急速な高齢化の進行に対応し、高齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは、意欲と能力に応じて働きつづけられる環境を整備することを、目的として定められています(※1)。 これまでは、高年齢者の雇用確保措置として、以下のいずれかの措置を講じる必要がありました。 (1)定年制の廃止 (2)65歳までの定年の引き上げ (3)希望者全員の65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入 さらに、2021年4月1日からは法律の一部が改正され、以下の項目が努力義務として追加されました(※2)。 (1)70歳までの定年の引き上げ (2)定年制の廃止 (3)70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入 (4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入 (5)70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入 1.事業主が自ら実施する社会貢献事業 2.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
高年齢者の就業状況
高年齢者雇用継続法の効果もあって、高年齢者の就業率は年々上昇しています。しかし60歳以降は、非正規雇用者の割合が上昇し、給与額が減少する傾向が見られます(※3、4)。 1.高年齢者の就業率は年々上昇している 高年齢者の就業率は、下図のとおり年々上昇しています。2023年度の就業率は10年前と比較して、60~64歳が15.1ポイント、65~69歳が13.3ポイントと、それぞれ大幅に上昇しています。また、70~74歳では10.7ポイント、75歳でも3.2ポイントと、全ての年代で就業率が伸びていることが分かります(※3)。