35歳の永井謙佑が見せた度肝を抜くミドルと抜群の駆け引き。川崎の20歳のA代表CB高井幸大らに示した経験値の差
和泉の追加点も演出
[J1第31節]名古屋 2-0 川崎/9月22日/豊田スタジアム 匠の技と言うべきか。 【動画】名古屋×川崎ハイライト 名古屋と川崎が対戦したゲーム、輝いたのは3-4-2-1のCFとして先発した永井謙佑だった。 序盤から川崎にボールを握られる展開も、味方がボールを奪えば、自慢の快足と絶妙なタイミングで相手の最終ラインの裏を取ったのが永井だ。 9分には後方の椎橋慧也からの素晴らしいスルーパスを川崎CB高井幸大の裏で受けてネットを揺らすもオフサイドの判定。ただ、川崎の守備陣に恐怖という種を植え付ける。 そして34分には再び椎橋からのダイレクトでの浮き球に相手の裏へ抜けながら反応し、相手が寄せてこないと見るや、ゴラッソと言うべき美しいミドルを叩き込んでみせた。 パスを受けた際のオフサイドとハンドの有無は副審が旗を上げたことで、VARでチェックされたが、その後、得点のアナウンスと大歓声を浴びる形となった。 永井と好連係を見せた椎橋は信頼ぶりを口にする。 「なんとなくあの辺に出せば、謙佑さんなら触ってくれるし、点につながると思う。(狙ったのは)キーパーが出てこられない、そして相手を置き去りにするところですかね。多少、浮いていても、謙佑さんならやってくれると思うので雑になっても出せるように」 そして67分には相手陣内の奥、左サイドでスローインを受けると、対応に出てきた川崎CB佐々木旭をあざ笑うかのように中央へパス。受けた和泉竜司が貴重な追加点を奪ってみせた。 「竜司が上手すぎた。あそこに落としたらいけるだろうなと、竜司は細かくやってくれるので」と永井は後輩を称える。 この日は川崎の売り出し中の24歳の佐々木、そして20歳でA代表デビューを果たした高井のCBコンビとマッチアップ。川崎はACL帰りだった面もあったが、永井は特に高井と対峙するシーンが多く、自慢のスピードと駆け引きの上手さで、俊英を翻弄したのもさすがであった。 「むしろ俺は前でサボらせてもらっているタイミングもあるので、その分しっかり」と語るが、前線からのプレッシングでもチームを助けた。 まさにいぶし銀。経験値の重要性を永井が改めて示すとともに、若いタレントが多い川崎の最終ラインにとっては大いに学びになるゲームだったとも言えるだろう。 取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)