年収だけで「家の購入額」を決めるのは危険…必ず知っておくべき〈住宅ローン〉で”無理なく完済できる”月々の支払額、“やってはいけない”返済方法
“元利均等返済方式金利”と“固定金利”で返済額を一定に
住宅ローンの支払い方法には、「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」の2種類があります。私は、毎月の返済額が一定になるように計算された「元利均等返済方式」をオススメしています。 「元利均等返済方式」とは、返済額は一定に見えますが、返済が進むほど元金が減るため利息額が減っていき、その分、元金の返済額が増えていく支払い方法です。毎月の返済額が同じなので、資金計画が立てやすいメリットがあります。 住宅ローンをシミュレーションする場合、「変動金利」か「固定金利」かを選択します。今は変動金利のほうが低金利なので、多くの金額を借りられるように思えます。 しかし、変動金利は文字通り、銀行の都合によって否応なしに変動します。金利が上がるかもしれないリスクには、貯蓄で備えるしかありません。変動金利で住宅ローンを組む場合は、毎月の支払額の4分の1を貯蓄し続けること、毎月の支払いと貯蓄の合計を手取り収入の4割以下に抑えることをオススメしています。 変動金利に対して、固定金利ならば金利上昇のリスク対策をせずとも大丈夫です。毎月の住宅ローン返済額がいくらなら、自分が無理なく返済していけるかをシミュレーションする場合、金利が変わらない固定金利で計算するようにしましょう。
定年時のローン残高は1,000万円以下
自分が何歳のときにマイホームを買い住宅ローンを開始するか、何年間をかけて毎月いくら返済していくかによって、ローン完済時の年齢も当然変わります。 例えば35年ローンで考えてみると、30代以降に家を購入した人は、ローン完済より先に定年退職を迎える人が多いはずです。たとえ定年した後も働き続ける人生プランだとしても、「60歳または65歳で定年したときに住宅ローンの残高がいくらになるか」は必ず把握しておくべきです。 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査/2022年」によると、2人以上世帯での住宅ローン残高の平均は、世帯主の年齢別で、50代が995万円、60代が766万円、70代が463万円となっています。 定年時に残高が1,000万円を超える住宅ローンは、非常に危険です。現役時代と比べると、定年後の収入は確実に下がります。人によっては、残金を現役時代のうちに繰り上げ返済しておかなければ、定年後に住宅ローンを払い続けることが難しくなる場合もあるでしょう。 ですから、現役時代の貯蓄で住宅ローンを完済できるようにして、余剰資金は老後資金に回すような資金計画を立てるべきなのです。住宅ローンを組む当初から、「定年時のローン残高は1,000万円以下」ということを守れる計画を立てていきましょう。
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