天神屋静岡おでん売り上げ拡大中 5年で路面店1.5倍 SA2倍 ご当地ブランド戦略奏功
弁当総菜販売の天神屋(本店・静岡市駿河区)で、おでんの売り上げが拡大している。「静岡のソウルフード」と銘打ったブランド戦略を掲げ、新型コロナウイルス禍以降の中食需要増を取り込み、テレビ番組での紹介を追い風に県外客の獲得にも成功。年間販売額(10月末時点)は路面店で19年比1・5倍、高速道のサービスエリア店で同2倍以上に伸び、主力のおむすびに並ぶ収益商品へと成長している。 大手コンビニ各社がコロナ禍に、感染症対策や人手不足でおでん販売を縮小した局面を商機と捉え、販売を強化した。「しぞ~かおでん」を前面に押し出すPRとともに、店舗ごとにおでん責任者を任命。汁の煮詰まり具合を定期的に点検し、具材が最良の状態で提供する態勢を整えた。曲金店の高野さち子店長は「常においしい状態でお客さまに食べてほしい」と1日3回以上、汁を確認する。 静岡おでん独特の具材「フワ(牛の肺)」など新具材も継続的に投入し、消費者の購入頻度向上策も講じた。結果、24年の全販売品目に占める売上比率は19年比で約1割上昇した。 「おでんの天神屋」ブランド確立に向け、関連商材の開発も進める。他の料理にも活用できる単体の甘辛おでんみそ、だし粉をかけて食べるポテトチップス、地元水産会社と共同開発した焼き鳥缶などを相次いで発売。年末にはレトルトおでんなどを詰めた福袋の販売も予定する。小板聡明取締役営業本部長は「創業時から受け継ぐ『天神屋でしか食べられない』味として、日常の食卓だけでなく、帰省時にも楽しんでもらえるようブランド訴求を続けていく」と説く。
静岡新聞社