「医療現場の実情知りたい」 青森県の部長が助っ人医師 三戸中央病院で月1度、日当直ボランテ ィア
今年4月に厚生労働省から着任した青森県健康医療福祉部の守川義信部長(50)=奈良県出身=が、ボランティアで三戸中央病院(三戸町)の日当直業務を請け負っている。本県の医療現場の実情を知りたい-と自ら志願。9月から月1回の土日、24時間の日当直に入り、地域住民の診療や入院患者の対応に当たっている。 11月30日午前、白衣を着て聴診器を首にかけた守川部長が、同病院の救急外来を受診した患者の症状を聞き取ったり、看護師に検査や薬の処方を指示したりしていた。県庁にいる時のスーツ姿とは異なり「お医者さん」そのもの。患者に「つらいですね」と柔和な関西弁で語りかけていた。 守川部長は2020年に厚労省に入省する前の20年近く、奈良県内の病院で勤務していたベテラン医師。青森県の医療福祉施策を考える上で、部長の立場で関係者らと懇談するだけでは現状を測りきれないとしてボランティアを希望。現在弘前大学から派遣されている医師がおらず、都市部から離れた県境に位置し応援医師が行きづらい立地の同病院を選んだ。自治体に出向した医系技官が臨床現場に立つのは、全国でも例がないという。 三戸中央病院事務局によると、これまで同病院は常勤医7人と非常勤医3人の計10人で夜間の当直と休日の日直を担当。医師1人当たり当直は週に1回、日直は月2回の頻度で、「回数が多く大変」との声が上がっていた。守川部長の申し出に、松崎達雄事務長は「正直ちょっとびっくりしたが、1回でも医師の負担減になるのでありがたい。県と連携する上でも助かるし、現場の刺激にもなっている」と話した。 守川部長は本年度内は同病院で勤務し、来年度は別の病院でのボランティアを検討しているという。「少し体調が悪くてもなかなか病院に来たがらないなど、奈良や東京とも違う地域の人たちの考え方が分かって勉強になっている」などとし、「県全体の仕組みをつくる上で臨床現場からヒントになることがたくさんあるので、患者さんや医療従事者から聞いた話を施策や予算に生かしていきたい」と語った。