ドラッグの入り口「大麻」、熊本の若者に広がる 栽培や所持の摘発増加 県と県警が注意喚起
熊本県内で若者を中心に大麻事件の摘発が増えている。大麻は「ゲートウエードラッグ」と呼ばれ、覚醒剤などのより強い作用を持つ薬物使用の「入り口」になると位置付けられる。県警や県は「安易な気持ちで手を出さないでほしい」と危険性を訴える。 県警によると、2023年に大麻の所持や譲渡、栽培で摘発したのは55人で、10~20代が43人と約8割を占めた。全体の摘発人数も増加傾向で、14年は9人だったが、15~19年は20~30人台に増え、20年以降は毎年50人前後に上る。 24年は10月末までに約30人を摘発した。23年より人数はやや減ったものの引き続き事件が多発し、栽培による摘発が目立つ。 7月には自宅で大麻草を栽培、所持した疑いで、美里町や福岡県の20~30代の男女4人を逮捕した。うち2人は大麻の植物片計1・68キロ(末端価格840万円相当)を所持していた疑いで、8月に再逮捕した。営利目的で栽培していた可能性もあるという。
11月11日には、南阿蘇村の自宅隣の畑で大麻草10本を営利目的で栽培した疑いで、自称焼き芋販売業の50代男を逮捕した。自宅などから乾燥大麻とみられるものが入った約210袋(計約50キロ、末端価格約2億5千万円相当)と、大麻草とみられる計約50本を押収した。18日にも、芦北町の自宅で乾燥大麻約230グラムを所持した疑いで、会社役員の70代男を逮捕した。 県警国際・薬物銃器対策課は「南阿蘇村の1件だけで、23年の乾燥大麻の押収量の2倍以上。1人で使用する量ではなく、営利目的で栽培したとみられる」と説明する。大麻の栽培の摘発を通して、供給源の遮断を目指す考えだ。 大麻は、交流サイト(SNS)では「野菜」などの隠語で取引され、若者が興味本位で手を出してしまう実態があるという。同課の和田広史次席は「大麻は害がなく、依存性もないという誤った情報が広まっているのではないか」とみる。 一方、覚醒剤の摘発は19年101人、20年83人、21年88人、22年58人、23年63人と減少傾向が続く。10~20代の割合も約1~2割で大麻より低い。