斬新すぎて実現不可能!? 新国立競技場の旧計画を担当したザハ・ハディドの代表作5選
斬新、前衛的、奇抜…。さまざまなワードで、その異端児ぶりが語られる建築家のザハ・ハディド。日本人にとって彼女の名前を身近に感じるようになったきっかけといえば、幻となった新国立競技場の旧整備計画です。建設費の高騰を背景に白紙撤回となってしまい、残念ながら彼女が携わった建築を日本で見ることはできませんでしたが、世界に目を向ければ多くの名作を輩出しています。 【写真集】死ぬまでに見るべし!異端の女王、ザハ・ハディドが遺した代表作 その未来的な構造やデザインゆえに完成できなかった案も多く“アンビルト(=実現できない建築)”の女王と呼ばれた時期もありましたが、一方で彼女のビジョンを完遂した作品たちは比類なき迫力や魅力ある建築として世界に大きなインパクトを与えています。名建築に宿る、ザハ・ハディドが貫いた美学を体感する旅へ出かけてみましょう。
ヘイダル・アリエフ・センター/アゼルバイジャン・バクー
カスピ海に面するアゼルバイジャンの首都、バクーに建てられた文化複合施設。総面積57,519㎡の広大な館内は、歴史や文化を伝えるミュージアムをはじめ、美術館やコンサートホールなどで構成されています。 青々とした人工芝のなかで輝く、まるで風にたなびくドレスのように流麗で真っ白いフォルム。床や壁、天井などの境界を曖昧にすることで、どの角度から見ても異なった表情を見せ、撮影ポイントに迷ってしまうほど多面的な魅力に引き込まれます。 貝殻、宇宙船など、見る人ごとに異なるさまざまな印象を許容する魅惑的な優雅さで、国のシンボルとして親しまれています。
アブドラ国王石油調査・研究センター(KAPSARC)/サウジアラビア・リヤド
アブドラ国王石油調査・研究センター、略称「KAPSARC」は、社会福祉を目的としたエネルギーの有効利用を研究する非営利シンクタンク。エネルギー供給による環境影響やコストの削減、効率的なエネルギー利用の実践的な解決策を考えるため、世界中の専門家が集い、エネルギーをめぐる課題に取り組む研究センターです。 中東・サウジアラビアならではの広大な敷地と莫大な資金力を糧に、ザハ・ハディドの世界観が思う存分発揮された華やか、かつダイナミックな建築に仕上がっています。 この建物は生前のザハ・ハディドが手掛け、彼女の遺志を引き継ぐ形でZaha Hadid Architectsが完成へ向けて進行しました。構造を最小限に止める六角形柱のハニカム構造を採用。細胞状の格子をつくり上げ、砂漠に出現する結晶の集まりをイメージした建築は2017年、大きなインパクトをもって、その完成した姿が世界へ伝えられました。