河室監督（手前）から２１世紀枠でのセンバツ出場決定の報告を受ける大分舞鶴の選手たち＝金澤稔撮影

　２８日に開かれた第９４回選抜高校野球大会（毎日新聞社、日本高校野球連盟主催）の選考委員会で、大分舞鶴の２１世紀枠での出場が決まった。春夏通じて初の甲子園出場に選手たちは「持ち味の粘り強さで、最後まで諦めない野球を見せたい」と意気込んだ。県勢の２１世紀枠選出は２００９年の大分上野丘以来、２校目。組み合わせ抽選会は３月４日。同１８日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。【辻本知大】 　「おめでとう。２１世紀枠で出場する自覚を持ち頑張っていこう。甲子園で校歌を歌おう」。河室聖司監督（５７）は同日夕、グラウンドに集まった選手に向かい、そう語りかけた。甲斐京司朗主将（２年）も「自分たちがやってきたことを評価してもらえたってことやけん。やりました」と喜んだ。 　チームは昨夏の県予選決勝で敗れて、甲子園出場を逃した。その際にもベンチ入りしていたエース奥本翼投手（２年）は「甲子園でプレーできることに感謝したい。先輩たちの分も１勝したい」と活躍を誓った。 　新チームでベンチ入りした野上龍哉投手（１年）は「憧れの舞台で、恥じない投球をしたい。自分の限界を超えたい」。打線の主軸を務める都甲陽希選手（２年）は「甲子園を意識し、練習に打ち込んだ。初球からどんどん振って、バットの芯に当てたい」と決意した。 　校内放送でセンバツ出場を知ったという甲斐主将は「選ばれたのは、先輩たちや家族、友人、支えてくれた人たちのおかげ。感謝を伝え、感動を与えられるプレーをしたい」と強調した。 　３５年の指導歴がある河室監督にとっても初めての甲子園。「このチームは投打にバランスが良く、どんな戦い方もできる。選手たちは甲子園を目指して、いつも以上に頑張った。昨秋の九州大会で勝てなかったからこそ甲子園で１勝したい」と力を込めた。 　◇「舞鶴魂を胸に躍動的に挑戦」　楢崎校長 　大分舞鶴に大会本部から連絡があったのは午後３時６分。楢崎信浩校長（６０）は電話の受話器を取り「ありがとうございます。甲子園でも伝統の舞鶴魂を胸に、地方の公立進学校としてダイナミックに挑戦することを誓い、謹んでお受けします」と応えた。学校関係者らと連絡を待っていた河室監督は「生徒の今までの頑張りが頭に浮かんだ」とハンカチで目を拭った。 　この後、野球部が２１世紀枠に選ばれたことを伝える校内放送があり、在校生らが選手に拍手を送った。楢崎校長は「野球部が甲子園で力を発揮することが楽しみ。ボランティア活動などＯＢから引き継いだことが実を結んだ」と喜んだ。【辻本知大】 　◇文武両道を貫き、地域貢献評価も　知事コメント 　広瀬勝貞知事や佐藤樹一郎・大分市長らは２８日、大分舞鶴のセンバツ出場決定を受け、コメントを寄せた。広瀬知事は「２１世紀枠の出場は県内では１３年ぶり。皆さんが文武両道を貫き、地域の清掃活動に取り組むなど立派な部活動をやってこられたことが評価されたと思います。力一杯戦ってください」と激励した。佐藤市長も「春・夏通じて初めての甲子園出場は、皆さんの野球に対するひたむきな努力が実を結んだものと心から敬意を表します」と祝福した。【津島史人】 ……………………………………………………………………………………………………… 　◆学校紹介 　◇県内有数の進学校 　１９５１年創立の公立校。普通科、理数科を併設し、２００５年には文部科学省からスーパーサイエンスハイスクールに指定された。県内有数の進学校として知られ、毎年、難関大に合格者を輩出している。 　男女共学で９５３人（１１日現在）が学ぶ。校是は「舞鶴魂―しまれ、がんばれ、ねばれ、おしきれ」。文武両道を掲げ、ラグビー部は全国優勝の経験もある花園の常連校だ。 　野球部は開校と同時に創部。勉強との両立を図るため平日の練習時間は２時間とし、班分けするなど、短時間に集中して練習する。近年は県大会で優勝するなど好成績を収めている。 　卒業生には歌手の南こうせつさんや伊勢正三さんらがいる。【辻本知大】 ……………………………………………………………………………………………………… 　◆チーム紹介 　◇打線に切れ目なく 　チームの要は、一塁手で４番を打つ甲斐京司朗主将（２年）。打撃ばかりでなく、大事な局面では選手に声をかけて緊張感を和らげるなど、チームの精神的な支柱になっている。新チーム発足時、満場一致で主将に選ばれた。 　エースの奥本翼投手（同）は制球力が強みで、最速１３９キロの直球を投げ込む。若杉琉慧投手（同）はスリークオーター気味の腕の振りで切れの良い球を投げる。野上龍哉投手（１年）は１８８センチの長身から繰り出す速球が武器。投手陣を引っ張る扇の要、青柳琥太郎捕手（２年）は攻めと守りのリードをうまく使い分ける。 　打撃陣は甲斐主将に加え、３番の都甲陽希選手（同）、５番の阿部泰己選手（１年）らを中心に切れ目がなく、昨秋の公式戦７試合では計５０得点を挙げた。【辻本知大】