11月から産科休診 医師の確保次第、再開見込み 名瀬徳洲会病院
鹿児島県奄美市の名瀬徳洲会病院(満元洋二郎院長)は14日、産科を11月1日から一時休診することを公表した。休診理由は、産婦人科医の異動で安全な分娩体制の維持が困難になったためとしており、期間は人材確保ができるまでの当面の間。11月以降、奄美大島で分娩(ぶんべん)を扱う医療機関は県立大島病院のみとなる。 名瀬保健所(県大島支庁保健福祉環境部)の調べによると、2023年に奄美大島内5市町村に住所がある人の出生数は約350人。うち6割が県立大島病院、3割が名瀬徳洲会病院、残り1割が里帰りなど島外での出産だという。 現在、名瀬徳洲会病院の産婦人科は、医師2人体制で年間約100件の分娩を扱う。事務担当は「医師1人体制では母子の安全確保が困難なことが休診の一番の理由」とした上で▽分娩数の減少▽同科の減収▽周産期医療(妊娠22週から出生後7日未満まで)に関わる常勤の小児科医と麻酔科医の不在―も安心・安全な医療提供が難しくなった要素でもあると説明。 また、通院中の妊婦へのフォロー体制については「他の分娩施設を紹介しており、継続する婦人科も他機関を希望される方には責任をもって対応する」と述べた。産科の再開は「医師の確保ができ次第」としており、11月以降の婦人科の外来体制に関しては調整中だという。 名瀬保健所の相星壮吾所長は「医療機関への立ち入り検査は指導したり指示したりということができる分野ではない」と前置きし「住民、地域にとって、産科医療サービスの選択肢が狭まることは決して好ましい状況ではない。地域医療等について考える場には積極的に参加し、共に知恵を絞りたいと思う」と話している。