豪雪地なのに「雪かき講習会」 過疎や高齢化で人手不足
地域の助け合いだけではもう持たず
国交省によると、国内の豪雪地帯は国土の約51%、そこに住む人口は全体の15%を占め、住民の生活や産業に深刻な影響を与えています。関連の法律などで除雪対策などを進めていますが、豪雪地の多くは過疎と高齢化が進む山間地のため、これまで地域の助け合いで取り組んできた除雪なども困難が増しています。 このため国は全国の除雪ボランティアの活動にも期待。今年2月3日には「除雪ボランティア募集ポータルサイト」を開設し、行政、地域に加えて全国規模の除雪ボランティアの活動も重視する考えです。
今回「道場」を開いた鬼無里地区は、地元の建設関係の職人を中心に構成する100年続くグループ「太子講」(10人)で長い間雪かきに取り組み、「2年前から長岡にも招かれて雪かきの話をしてきた」と会長の久保幸男さん(74)。今年は地域の50戸で雪下ろしをしてきたと話し、「地元でも雪かきのこうした講習会が独自に開けるほどに力が付けばいいのだが」と話します。 しかし、ボランティアへの期待について地元の雪かきに取り組んできた年配の男性は「ボランティアといっても全く無償で自力でやるのが当然と考える人と、そうは言っても交通費など実費の支給は期待できるのではないかと考える人などがいて、実は受け入れる方も大変な配慮が求められてくる。こうした点について誰もが納得できるような合意も、まず必要じゃないか」と指摘します。 鬼無里地区住民自治協議会の原山正昭会長は、講習会のあいさつの中で「かつては麻の畳糸(たたみいと)を雪に晒(さら)して白くするなど地域の産業に欠かせないものだったが、最近は時には命にかかわることもある雪でもある。積雪の1メートルは“一命取る”でもある」と話しました。 鬼無里地区住民自治協は、こうした講習会を通じて「ボランティアが訪れる地域になるよう息長く取り組みます」としていますが、その道のりは長く続くことになりそうです。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説