豪雪地なのに「雪かき講習会」 過疎や高齢化で人手不足
屋根の雪は少し残すこと
子どもたちや家族連れも対象に雪かきの注意をまとめたカルタで「厚着して 大汗かいて 風邪ひいて」、「新潟は 日本で一番 重い雪」、「その先は 屋根か雪庇(せっぴ)か 確かめて」などを紹介。カルタ大会も日程に入れました。 木村さんは「新潟の雪は重く、長野の雪は軽い。新潟では1立方メートルの雪は300キログラムあり、畳2枚分だと1トンになる。この雪が外に積もると、戸が開かなくなります」と、見た目とは違う雪の重量を紹介。
このほか、「屋根の雪は全部きれいにしないで少し残し、滑落を防いだり道具が当たって屋根が傷むのを防ぎます」「屋根から垂れ下がった雪が地面に着いてそのままにしておくと、雪が沈んでいく際の“雪の沈降力”で屋根を引っ張り、壊してしまう。屋根の雪と地面の雪がつながったら必ず雪を崩して間を空けておくこと」など、普段は気付かない雪かきの知恵がいくつも。 野外の実習では、初級の受講生がスノーダンプの使い方や雪の投げ方を練習。「右ききなら右足を軸に、左足を引いて後ろに投げよう」「スコップは、てこの原理で軽くなるように持とう」などと指導を受け、最初は思うように雪を投げられずに汗をかいている参加者もいました。
はしごやアプリ、雪かきの新技術
2日目は初級受講者が地域の住宅に出向いて実際の雪かきを体験。中級は10人ほどが大きな工場だった建物の屋根にはしごで上って命綱を付けての除雪。重い雪との格闘が続きました。 講習では、雪かき向けの新技術も登場。関西から参加したはしごのメーカーは「雪かきに適したはしごを開発中なので、今回試してもらい、使えるということになれば実用化したい」と意欲。屋根に立てかけても横に滑らない仕組みなどを持つはしごを雪かき現場で実験しました。 通信関連のメーカーは、雪かき中に万一、雪に埋まったり転落した場合に、その衝撃を感知して仲間のスマホに同報で警告音を鳴らすアプリを紹介。実際にスマホを転落状態などにして発信する実験をし、担当者は「見通しが付けば今春からでも実用化したい」と話していました。 このほか長岡技術科学大・修士2年の村井優(ゆたか)さんは、スコップにセンサーを取り付けて、持ち上げた雪の重さや仕事量などが仲間やリーダーに発信できる装置を披露。「企業と提携して研究中ですが、いずれは作業者の体の状態なども分かるようにしたい」。参加者から「雪かきを休んでいるとすぐ分かってしまうね」と思いがけない指摘に笑い声も。 講習に参加した茨城県の大学4年の女性(23)は「人との接触が苦手なのと豪雪への関心があって5年前から各地で雪かきボランティアをしています。今回は友人の学生や大学の職員など5人で参加しました。周囲の人たちが関心を持ってくれました」と話していました。 また新潟市から参加した会社員男性(27)は「雪かきに関心があって参加しました。役に立てるようになればいい。頑張ってみます」と講習に取り組んでいました。