「6年前、23歳のショウヘイとは違う…」エンゼルス1年目の大谷翔平を知る、ドジャース三塁コーチが独占告白「感情を出すショウヘイが大好きなんだ」
「三塁で何を話している?」
翔平が三盗に成功した時、三塁コーチの私が真っ先に言葉を交わすことになるわけだが、何か特別なことを話すわけではない。私の方は「グッジョブ、グッジャンプ(Good job, good jump)」と声をかける。「何か癖が見えたのか? あれはカーブが来ると思ったのか?」と尋ねたこともあるが、彼は「いや、ただ走っただけだよ」といった感じで、盗塁成功の振り返りには興味を示さなかった。 誰かが三盗した時には私はいつでもその成功を讃えるが、翔平が何かを言うことはほとんどない。私が「内野陣は後ろに下がっているよ」「ここではコンタクトプレー(=打った瞬間に三塁走者は走る)だ」といった指示を出し、翔平は「OK」と答え、次のプレーに移っていく。盗塁を成功させた瞬間、彼はもう気持ちを切り替えている感じがする。
「6年前のショウヘイとここが変わった」
今季、そんな翔平と一緒に続けてきたことがある。 彼がホームランを打った時、お互いに右手の指を曲げ、弾いた上で合わせる“デコピン・セレブレーション”だ。本塁打を打った時はみんなそれぞれの形で祝うもので、ハイファイブが好きな選手がいれば、ローファイブを好む選手もいる。翔平にどうしたいかと聞いたら、“デコピン・セレブレーション”のジェスチャーでこうしたいと言ってきた。始めたのは今季開幕直後、1号本塁打のあとくらいだったんじゃないかな。以降、今に至るまで続けているよ。 翔平のことを私はエンゼルス時代から知っているが、彼がいい人間であることは変わらない。常にチームのことを気にしていて、勝ちたがっている。メジャーリーグに入団1年目の2018年はマイク・トラウト、アルバート・プホルスといったスーパースターがいたエンゼルスにうまくフィットしていたが、今季もまた環境の違うドジャースに上手に溶け込んでいる。 もちろんメジャー入り当時と比べると変わった部分はある。成熟し、強く、逞しくなり、今ではこのリーグのことを熟知している。自信をつけたために、目標をセットした彼を止めるのは誰にとっても難しくなった。心を惑わされるべき物事はたくさんあるはずなのに、彼を見ていてもそれは感じられない。 メンタルの強さがゆえに成功を手にできるんだと思う。障害をブロックし、ゲーム中は集中する。試合終了と同時にその緊張を解き、妻の元に戻り、リラックスしてファミリータイムを過ごすのだろう。 翔平のポストシーズンでの活躍を私も楽しみにしているよ。ホームランを打った時に“Let’s Go”と叫んだり、彼が感情を表に出す瞬間が私は好きなんだ。翔平がエキサイトすると、感情が湧き出てくるように感じられる。チームメイトも、私たちスタッフも、ファンも、その瞬間が大好き。ドジャースのためにも今秋、そういった場面が何度も見られることを私も願っている。
(「メジャーリーグPRESS」杉浦大介 = 文)
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