飛行機出勤可で残業ゼロ…『医師が集まる過疎地の病院』地域医療成功のカギは“優秀なドクターと病院の支持”
中野さんは毎週、鹿児島まで“飛行機出勤”している。クリニックの医師の半数以上、5人が、沖縄や福岡など、県外から通っている。
そしてある日の午後6時、夜勤の医師へ引き継ぐタイミングが、救急車の受け入れと重なったが…。
中野医師: 「オンオフ割り切って帰るんですけど」
オンとオフをはっきりと切り替えるのもルールの一つ、「残業ゼロ」だ。給料も平均以上の金額を保証と、厚い待遇面が魅力となり、“医師が集まる病院”になった。
この10年の間に過疎地を中心に全国6カ所でクリニックを開業し、今後さらに5カ所のオープンを予定と、地域医療の“成功例”として注目を集めている。
松岡救急クリニックの松岡良典院長: 「やりがいもちゃんとあるし、休みもあってちゃんと給料も保障されている。その3つのバランスが自分は元々取れていなかったから、バランスを取りたいと思って始めたから絶対自信があった。それを全国の先生方に伝えると、結構やりたいっていう先生が増えてきた」
飛行機通勤など、他の医療機関がうらやむような好待遇を維持するため、意識しているのは“高い利益率”の確保だ。
松岡院長: 「優秀なドクターで、1人何役もこなせるようなドクターが最小の人数でたくさんの患者を診て利益率を出している。病院が支持されて、ある程度患者さんがたくさん来て、それを少人数でしていくということにある」
■救急医療を経験した幅広い知識の医師をスカウト 過疎地の地域医療を変える
複数の科の知識を持ち、子供から高齢者まで幅広い年代の患者に対応できる医師がいれば、短い時間で多くの患者を診ることができる。松岡院長が注目したのが、軽いケガから脳卒中や心筋梗塞などの重傷患者まで対応できる“救急”を経験した医師だった。
全国の学会などを回ってリクルート活動し、救急に強い医師を確保してきた。
愛知から通う中野さんも専門は小児科医だが、勤務していた病院で夜間の救急対応を多く経験していたことが、このクリニックでの採用につながった。
子供: 「鼻水が止まらなくて」 中野医師: 「鼻水以外は喉も痛いの?」 中野さんの生まれは鹿児島県で、長年、地元での医療に携わりたいと考えていたという。