TKOで初防衛した村田諒太がゴロフキンに「勝つ見込みあり」とあの人が…
「やらなきゃいけないからです。他に僕がやって輝ける場所や、ベストのやりたい仕事が、あれば、そっちへ行きます。でも、今、僕にとってここがベストなんです。これ以外の選択肢がないんです。そこにいろんなことをモチベーションとしてつけたしているわけです。選択肢が無駄に多くあるなら迷いますが、男として、この道を進んでいくだけなんです」 実に答えはシンプルだった。ただ、このシンプルを追求することが、どれほど大変か。 ただ、ここから先は、「メンタル・ハングリー」とは縁遠い世界になってくる。 戦うべき相手が明確になってきた。リング上で村田は「ゴロフキン」の名前をハッキリと告げた。 村田を祝福したトップランク社のボブ・アラム氏は、村田vsゴロフキンの東京ドーム構想をさらに具体的に明らかにした。 「マイク・タイソンが東京ドームで試合をしたように日本の日曜の午前中、アメリカ東海岸の土曜のプライムタイムに合わせて、試合開始時間を設定すれば、日本では何万人もの人が集まり、アメリカではPPVで放映できる。まだ最終結論は出ていないが、おそらくカネロはサスペンデッドとなり年内にゴロフキン対カネロの試合はできない。そうなると、年内にビッグマッチを求めているゴロフキンは、この話に乗ってくる」 非常にロジカルなビジネス計画だ。しかも、禁止薬物の陽性反応により、5月5日の再戦が流れたサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)とゴロフキンの頂上対決が、再度まとまるには時間がかかると見ており、そうなると、ゴロフキンは、このビッグビジネスに飛びついてくるだろうという算段だ。 「私は勝つ見込みのない試合など計画しない。村田は体格でゴロフキンを上回っている」 数々の名勝負をプロモートしてきたアラム氏が、そこまで言う。 そして、東京ドーム決戦は、複数の世界タイトル戦を組む予定で、アラム氏は、そこに5月に3階級目となるバンタム王座に挑戦する井上尚弥(大橋)を加えたい意向までを明らかにした。 ただ、村田は、その東京ドーム決戦の前に9月か10月に予定しているラスベガスでの防衛戦をクリアしなければならない。ゴロフキン戦でPPVを売るには、アメリカで村田の顔を売る必要がある。アラム氏は、ロンドン五輪の決勝で村田に敗れたファルカン(ブラジル)を当てたい考えだが、本田明彦会長は、ネームバリューを上げるためには、アメリカ人と戦わせたいという考えを持っている。 「ゴロフキンとは早いうちにやらせたい」ともいう。 本田会長は、村田の心技体が充実したタイミングは今だと見ている。 この冬に夢が夢でなくなる瞬間を目撃できるかもしれない。