米大統領選でどうなる日本 - エコノミスト門倉貴史が日常生活の変化を予想
アメリカ大統領選の投票日が11月3日(現地時間)に迫っています。米大統領選の結果が、為替市場や私たちへの日常にどんな影響を与えるのか。エコノミストの門倉貴史さんに、トランプ氏とバイデン氏、それぞれが勝った場合の日本への影響について伺いました。(Yahoo!ニュースVoice編集部)
2人の政策と為替への影響について
それぞれが大統領になった時にアメリカの経済、それから日本の経済にどういった影響が出ていくかというところをみますと、まずトランプ氏の場合には政策が“アメリカファースト”ということで、強いアメリカを目指しているということです。 外交政策についても強気でのぞんでいく、国内の産業を保護していくという路線をとっています。貿易赤字をどんどん減らしていこう、アメリカに安い値段で製品が入ってくるのを阻止しようという政策になっていますので、為替レートは“ドル高”、強いドルを志向するような流れになってくるのではないかということです。 一方バイデン氏の方は、バイデン氏に限らず民主党のクリントン大統領とかオバマ大統領もそうだったんですけれども、“国際協調路線”を志向する傾向がありまして、それぞれの国に関税をかけないで自由に貿易をしていこうということで、アメリカの貿易赤字が膨らみやすくなって“ドル安”に傾きやすいというところがあると思います。
トランプ氏が勝利した場合の日本への影響
トランプ氏が大統領になった場合には、為替レートは“円安ドル高”の方向に動きやすいということですので、日本にどういった影響が出てくるのかというところを順番にみていきますと、円安になると「モノを輸入するときの値段は上がってくる」という特徴がありますので、アメリカから肉類とか小麦などの穀類を輸入しているので、例えば牛丼とかハンバーガーの値段が上がったり、パンとかラーメンとか麺類の値段が上がりやすくなってくるというようなことが影響として出てくる可能性があります。 それから日本はエネルギーを今現在は化石燃料、原油とか石炭、あるいは液化天然ガス、そのほとんどが海外からの輸入に頼っておりますので、こうしたエネルギーを輸入する際の価格も円安になると上がりやすくなってくるということで、私たちの家庭の電気代とか光熱費、それからガソリンの値段なんかも上がりやすくなってくるのかなという、そういったマイナスの影響が出てくる可能性があるということです。 一方、日本は輸出産業、自動車とか電気機械の産業が、大きな比重を占めており、こういった産業にとっては、国際的な価格競争力が円安によって上がってくるので業績が上向いて、そこで働いている人たちの賃金が上がっていく、そういったプラスの影響も出てくるのではないかということです。 円安になると輸出産業の競争力が高まってくるので、日本の株式市場では輸出産業の時価総額のウエイトが高いといった特徴がありますので、株価も輸出産業中心に上がっていきやすくなってくるかなと思っています。