広島の2軍でもがく栗原、東出の復活ロード
カープ女子に黒田効果。ビジターチームの営業担当が、「広島カープ様様です。広島人気が観客動員につながっています」と、喜ぶほどのカープ旋風は、まだまだ衰えをしらない。1日の巨人戦ではドラフト2位の薮田和樹(22)がプロ初先発初勝利して、首位の阪神とは、2.5差。まだ借金は返せていないが、混セの中で、広島がジワジワと追い上げを仕掛けている。そのカープブームの裏にあって、忘れさられようとしている選手たちが2軍にいる。私は、2軍で苦悩中の彼らを訪ねた。 その日、代打サヨナラータイムリーを放ったのは、東出輝裕(34)だった。 先月、山口由宇で行われたウエスタンリーグの対中日戦。2-2で迎えた9回二死一二塁で永川に代えてピンチヒッターを告げられた東出は、しぶとくセンター前へ。ベテランらしい勝負強さを発揮してサヨナラを演出した。かつて「1番・二塁」でチームを牽引したチームリーダーである。 開幕から2軍。主に代打で10試合、9打数で4安打3打点。打率・444の数字を出しているが、ほとんどベンチを暖めている。選手兼任二軍野手コーチ補佐に就任していて、片足をコーチ業につっこんでいるが、プレーヤーとして1軍昇格の可能性をあきらめていない。 2013年のキャンプ中に左膝の前十字靭帯を断裂する大怪我をして以来、この2年間、1軍での出番がない。「まだ守備では、踏ん張るときに怖さが残っているんです。バッティングの方は、なんの問題もないのですが」。守って走れてこその選手だけに、左の代打としてだけでは戦力として1軍に呼ばれるのは厳しい。まして、二塁には、不動のレギュラー菊池涼介(25)がいる。それでも東出は、「1軍の打席に立つことを目指していますし、気持ちは折れていません」と言う。 2軍でもがいているのは東出だけではない。 かつて番を張った栗原健太(33)だ。 彼も2013年5月以来、2年近く1軍の打席に立っていない。2006年から4年連続で20本以上の本塁打を放ち、2008年は新井貴浩がFAで阪神に移籍したこともあって、144試合全試合で4番を任された。だが、右肘の故障に悩まされ2012年にはシーズン中に手術をして21試合出場にとどまり、若手の台頭もあって、2013年5月を最後に2軍生活が続く。2014年オフには3度目の右肘の手術。ファームでさえ、一塁ではグスマン、岩本貴裕(29)が使われ、栗原にスタメン出場の機会は、ほとんどなく、ここまで19試合に出場、27打数3安打、打率は.111で本塁打はゼロ。 バッティング練習を見ていても、右肘をかばった打撃フォームで、打球が飛ばない。ライナーで軽くフェンスを越えていくような栗原の打棒は影を潜めていた。おそらく頭ではわかっていても体が反応せず、なかなか全盛期の形に戻せない歯がゆさがあるだろう。