寛一郎、主演映画完成に思いを吐露「僕らはアイヌの文化を絶やさず未来に繋ぐためにこの映画を作りました」
俳優の寛一郎が26日、都内で行われた映画『シサム』完成披露舞台挨拶に、和田正人、坂東龍汰、平野貴大、サヘル・ローズ、緒形直人、中尾浩之監督と共に登壇。共演者から気迫ある芝居を絶賛され照れ笑いを浮かべていた。 【写真】坂東龍汰と共に笑顔を見せる寛一郎 本作は、江戸時代前期を舞台に、アイヌと和人の関係性を描いた物語。北海道南西部に位置する松前藩士の息子である考二郎(寛一郎)が、兄の栄之助(三浦貴大)と共に、アイヌと交易をするために蝦夷地に向かったことから起きた事件をきっかけに、アイヌの文化に触れ自身を見つめ直す姿を描く。 約1年前に撮影した本作。寛一郎は「やっと公開が近づいてきたと思うとドキドキしています」と心境を明かすと、アイヌを題材にした作品に「小学生のころ、アイヌに訪れたことがあり、アイヌの文化について知りたいという思いもあったので、お話しを受けさせていただきました」とアイヌと自身の縁について述べる。 劇中では、和田演じる善助と対峙するシーンがある。和田は、寛一郎との共演は初めてだが以前から面識があったことに触れると「いつかご一緒したいなと思っていた素晴らしい俳優さん。今回僕は、敵役として追われる身として対峙したのですが、セリフにないところでの気迫がすごかった。そのおかげで僕のなかの緊張感を保つことができた」と寛一郎を称賛する。 さらに寛一郎演じる考二郎の上司となる松前藩士・大川を演じた緒形は「アイヌ人を演じた方々は、アイヌ語で感情を乗せて芝居をするのがどれだけ大変だったか」と、坂東やサヘル、平野らを慮ると「そんな彼らと対峙する寛一郎君とのやり取りを見てほしい」と寛一郎とアイヌ人を演じた坂東らのシーンを見どころにあげる。 アイヌ人のシカヌサシを演じた坂東は「寛一郎とはプライベートでも仲良しで、彼が主演と聞いて『絶対やる!』と思ったんです」と前のめりで作品に参加したというが、ほぼ全編アイヌ語のセリフだったことに「台本が全部カタカナで、そこから一気に不安になった」と苦笑い。それでも懸命にアイヌ語を理解したという坂東は「撮影から1年経っていますが、セリフが抜けない」と発言し、長セリフのアイヌ語を披露して会場から大きな拍手を浴びていた。 寛一郎は「この映画はアイヌの人達がこの地に存在したこと、豊かな文化を築いたこと、その文化が徐々に失われつつあることを描いています」と述べると「僕らはその文化を絶やさず未来に繋ぐためにこの映画を作りました」と作品の持つ意義について語っていた。 映画『シサム』は、9月13日全国公開。