足りなかった「勝ち点1」、それでも胸を張ってJ1へ。清水エスパルスが挑む、初のJ1昇格プレーオフの価値
「もったいない」の代表格はなんといっても…
では、“タラレバ”になるが、その勝ち点1はどこから取るべきだったのか。 やはりシュート数が18対2と清水が圧倒的に攻めていたにもかかわらず0-1で敗れた第21節・ブラウブリッツ秋田戦、その前のザスパクサツ群馬戦では終了間際に怒涛の攻撃を見せるも元清水のGK櫛引政敏に阻まれ、今季最多22本のシュートを放ちながら1点しか奪えず1-1のドロー。第37節の藤枝MYFC戦もどうだろうか。その前の対戦では5-0で勝利したにもかかわらず、アウェイで0-2で敗れて勝ち点を奪えなかった。 もったいない試合はいくつもある。ただ、取りこぼしが多いかといえばそうとも言い切れず、秋葉監督が強調していた同一チームに2連敗、いわゆる「シーズンダブル」はされなかった。 さらに1位・FC町田ゼルビア、2位・磐田、3位・ヴェルディ、そして5位・モンテディオ山形には1勝以上している。逆に22位・ツエーゲン金沢、21位・大宮アルディージャ、20位・レノファ山口FC、18位・いわきFCには2連勝をしている。清水が1勝もできなかったチームは6位・ジェフユナイテッド千葉(1分1敗)、8位・ヴェンフォーレ甲府(1分1敗)、11位・群馬(1分1敗)、13位・秋田(1分1敗)、15位・徳島ヴォルティス(2分)、17位・水戸(2分)の6チームで、中位が多い印象だ。また昨季は終了間際の失点で勝ち点を幾度となく取りこぼしたが、今季を振り返ってみても劇的な結末を迎えたのは第16節・千葉戦、第17節・町田戦くらいではないか。 ただ、「もったいない」の代表格はなんといってもシーズン序盤の7試合だろう。 清水の首脳陣は昨季からゼ・リカルド体制を継続させた。昨季J1第27節・京都サンガF.C.戦に勝利して以来、残りの7試合を2分5敗と真っ逆さまに降格へと落ちていった。その彼を続投させた是非はシーズン後に問われることになるだろうが、とにかくJ2開幕から7試合で5分2敗と勝ち点5しか積み上げることができず、秋葉監督にバトンタッチすることになった。 秋葉監督の就任のあいさつでは、7試合で勝ち点7以上積み上げていないチームが昇格した例がないということに触れ、「7試合で勝ち点5でも昇格できるという事例を作りたい」と、これが一つの反骨心になっていたようだが、シーズン序盤に大きなハンデを背負ってしまったことは間違いない。