科学が証明「寝不足だと風邪をひきやすい」は真実 アメリカ発・興味深い睡眠研究の結果2つを紹介
■睡眠不足の人ほど風邪をひきやすい この風邪ウイルス感染前の睡眠時間と、風邪症状出現との関係を調べました。結果は明らかで、夜間の平均睡眠時間が5時間以下の睡眠不足の人は、7時間眠った人と比べて、4.5倍多く風邪にかかり、風邪症状が出やすいことが示されました5(※外部配信先ではグラフを閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。 以上、風邪をひくと眠くなる、あるいは睡眠不足だと風邪をひきやすくなるなど、誰でも経験があるようなことを紹介しました。睡眠と感染症との間には、相互関係があることは間違いないようです。
そのメカニズムを検証する前に、免疫で生じる重要な生体反応「炎症」について、知っておく必要があります。鼻炎や咽頭炎、扁桃炎など、「炎」のつく病気で生じている、あの反応です。 人間がウイルス感染すると、睡眠はどうなるかの話です。風邪をひいたときの経験を思い出しながら、読んでみてください。 先に、ウイルス入りの点鼻薬をつけさせた実験を紹介し、睡眠時間が短い人ほど風邪にかかりやすいことを紹介しました。この実験と似ていますが、人間に風邪ウイルスをわざと感染させて睡眠を調べた、これまた危なっかしい研究があります。
■風邪をひくと睡眠の質はどうなる? アメリカ、デトロイトのヘンリー・フォード病院で行われた実験では、ライノウイルス23型を人にわざと感染させて、風邪症状が起きていたときの睡眠を睡眠ポリグラフで記録しました。 結果として、風邪で伏せっているときは、総睡眠時間が短くなり、睡眠効率〔註9〕が悪くなるなど、睡眠の悪化が見られました9。 風邪をひくとだるくなって眠くなり、体を横にするには都合の良い状態にはなりますが、元気なときのような満足度の高い睡眠はとれなくなるようです。
たしかに、風邪をひいたときは眠くはなりますが、途中で何度も目が覚めるなど、健康なときのようなぐっすりと、疲れがとれるような睡眠ではありません。 おそらく、発熱や痛みなどで睡眠が妨害され中途覚醒が多いことが原因として考えられます。何より、深夜の睡眠中は低い値であるはずの深部体温が、発熱によって高い温度で維持されてしまうことは、睡眠にとってはマイナス要因です。 人間の場合は、軽い風邪など炎症反応が比較的軽度のときは、わたしたちが休息できてかつ細胞が修復できるようノンレム睡眠が増加します。また、発熱を促進し免疫反応を高めるために、体温を下げるレム睡眠が抑制されます10。