トイレはなぜ「陶器」なの? 他の素材にして安く済ませることはできないのでしょうか?
「トイレはなぜ陶器なのだろう」と思ったことはありませんか。トイレの素材に陶器が選ばれるのには、深い理由があるのです。この記事では、トイレが陶器で作られている理由や、他の素材で作れないのかについて考えてみましょう。 ▼節約のためにトイレを「3回に1回」だけ流すのは危険! 節約効果とデメリットを解説
トイレの便器に陶器が選ばれる理由
トイレの便器に陶器が選ばれる理由は3つあります。 ●頑丈で安価 ●高い防水性 ●優れた衛生面 これらの特性により、陶器は洋式トイレの便器に最も適した素材として広く採用されています。 ■頑丈で安価 陶器は耐久性が高く、製造や設置が比較的容易だとされています。また、日常的に使用できるため、利便性が高いといえます。大きな負荷にも耐えることが可能です。 また、陶器製のトイレは、便器特有の複雑な形状を作り出すことができます。陶器は型で成形した複数のパーツを手作業でつなぎ合わせるため、複雑な形状の加工も可能なのです。 ■高い防水性 陶器は高い防水性能を持っています。もし便器が水を吸収してしまう素材であれば、水漏れや排泄物が漏れるリスクが高まります。陶器の防水性は、トイレを安心して使用できるために欠かせない要素です。 ■優れた衛生面 トイレを衛生的に保つには、掃除のしやすさも重要です。陶器は多くの掃除用薬剤に対応でき、ブラシでの摩擦にも耐性があります。清掃が簡単で、常に清潔な状態を保つことが可能です。掃除が難しい素材では、すぐに不衛生になり、病気の原因や心理的なストレスを引き起こす可能性があります。
人気のトイレ素材は?
価格.comで人気のトイレの素材を調べたところ、表1のような結果が得られました。なお、価格は2024年9月3日時点のものになるため、異なる場合があります。 表1
※価格.com「トイレ・便器の人気商品ランキング」より筆者作成
日本で陶器を用いた洋式トイレが誕生したのは大正時代
日本で最初の洋式トイレが誕生したのは大正3(1914)年のことで、その開発者は日本陶器合名会社(現在の株式会社ノリタケカンパニーリミテド)の初代社長、大倉和親氏とその父、大倉孫兵衛氏です。 洋式便器の開発に取り組むきっかけとなったのは、大倉親子がヨーロッパ視察の際に見た真っ白な便器でした。ヨーロッパではすでに洋式トイレが普及しており、その光景に強い印象を受けたことが背景にあります。 帰国後、大倉氏は自社工場内に「製陶研究所」を設立し、洋式トイレの研究と開発を開始しました。しかし、当時の日本はまだ下水設備が整っておらず、大倉氏のこの取り組みには懐疑的な声も多かったようです。大倉氏は日本において将来的に必要になると確信し、自身の資産を投入して開発を進めました。 洋式トイレの開発には2年の時間と1万個以上の試作品を要しました。その結果、日本初の腰掛式水洗便器が完成したのです。
陶器は安価で丈夫なため広く普及
陶器は安価で耐久性が高いことから、長い間トイレの素材として広く普及してきました。私達の生活に、トイレは必要不可欠と言えます。そんなトイレに使われている素材が安価で丈夫なのは、企業の努力によるものといえるでしょう。 出典 価格.com トイレ・便器の人気商品ランキング ※2024/9/12 記事を一部変更しました。 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部