車ごと海に転落した70代男性の命救う 港湾荷役業者ら、6mのベルト持ち急行「どないかせな」 姫路
ブレーキとアクセルを踏み間違え、車ごと海に落ちた兵庫県姫路市の70代男性の救助に貢献したとして、市は男性4人に善行賞「しらさぎ賞」を贈った。4人は飾磨消防署(同市飾磨区中島)であった贈呈式で「『どないかせなあかん』と必死だった」と振り返った。 【写真】「心肺蘇生法、分かるのでやります」 中3男子が意識不明男性の命救う 事故は12日午前9時ごろ、同市飾磨区細江の姫路港内で起きた。車を運転していた男性が岸壁の車止めを乗り越え、約2メートル下の海に転落。現場から約100メートル南で船に荷物を積み込んでいた港湾荷役業者「日栄運輸」の岸本吉和さん(65)が、一部始終を目撃した。 「海に車が落ちた!」。岸本さんの声を聞いた同僚の西脇敬修(たかのぶ)さん(39)は、船内にいた上司の石川真次さん(55)に報告。石川さんは警察に電話しながら走って事故現場へ向かった。 同じ頃、同社と共同で作業中だった物流業者「日伸運輸」の金谷和哉さん(46)も、無線で事故を知った。金谷さんは西脇さんと一緒に、荷物をつり上げる長さ約6メートルのベルトを持って現場へ急行した。 車は既に水没していたが、運転手の男性は自力で脱出して岸壁の緩衝材につかまっていた。金谷さんは岸壁の段差を下りて男性の脇にベルトを通し、消防隊が到着するまで体が沈まないよう西脇さんらと支えた。 男性は顔などに傷を負ったが、命に別条はないという。石川さんは「あの状況なら誰でも『何とかせな』と思うはず。男性が無事でよかった」と話した。(真鍋 愛)