2025年NISAは中国株とブラジル株に注目! 「米国株偏重はリスクが大きい」フィデリティのファンドマネジャーが新興国を“狙う”ワケ
2024年、日経平均株価は史上初の4万円に達した後、8月には大暴落を経験。まるでジェットコースターのような相場だった。2025年の世界経済はどうなるだろうか。 【写真】フィデリティ・インベスメンツのグレゴリー・リーさん 2024年に販売開始した新興国株型投資信託で最も買われた商品「フィデリティ・新興国中小型成長株投信(エマージング・ハンター)」の運用担当者(ファンドマネジャー)に、2025年の新興国経済の見通しと、投資の魅力についてインタビューした。 ●中国は個人消費主体経済への転換をチャンスにできる企業が多い ブラジルは経済状態も企業業績も良好! ──2025年の新興国経済の見通しは。 ポジティブに見ています。米国の金利低下によって、新興国は通貨下落や資本流出が落ち着くことが期待されます。インフレなどのネガティブな要素も和らぐでしょう。 ──特に注目している新興国は? 中国とブラジルです。 ──中国は不動産バブル崩壊や成長率の低下が懸念されています。 たしかに従来の不動産開発が牽引した経済は限界に達しました。政府も個人消費主体の経済へ転換を試み、政策や財政を動員していますが、なかなか新しいモデルに移行できないでいます。当面はその構造改革の苦しみの過程が続き、成長率の低下として数字にも表れてくるでしょう。 ──それでも中国株に投資を続ける理由は? その個人消費主体経済への転換をチャンスにできる企業が多いからです。例えば中国では個人の健康志向やスポーツ参加率が高まっているので、現地で人気が高いスポーツ用品の李寧(リーニン)などは着実に成長していけるでしょう。しかも、リーニンの株価は以前PER20倍台でしたが、近年の中国株の低迷で足元ではPER11倍台です。このように割安になっている銘柄は投資のチャンスだとみています。 ──ブラジルの魅力は? 人口でも資源でも大国で経済状態も企業業績も良好です。長期的な成長が期待できます。ただ、政治が不安定な上に、インフレ対策で高金利政策を採用しました。その副作用で、マネーは株式から債券へ流れ株安を招いています。その結果、成長性は不変なのに株価は下がってしまった企業が多く出現しています。インフレもピークを過ぎたので、今後は金利低下による株価上昇が期待できるでしょう。 ●インドは成長するが株価は割高感が強い 新興国の中小型株はマクロ経済の波の影響を受けづらい! ──インドはどうでしょうか? 人口では世界一となり、長期的にはGDPの成長は確実でしょう。しかし、足元の株価はかなり割高だとみています。今は株式の投資先としての優先度は下げています。 ──日本人が新興国株のアクティブ投資信託へ投資するメリットは? 日本ではS&P500や全世界株へ投資する投資信託が人気ですが、それらに投資すると資産の中で米国の大手ハイテク株や大型グローバル銘柄の比率が高まります。その結果として、マクロ経済の波やAIブームの動向に左右されるリスクが高まります。新興国の特に中小型株は、それらの影響をあまり受けずに成長が可能なので、資産の一部を分散する投資先として有効です。 ──オルカンのような全世界株型の投資信託を買うことで、新興国株に分散したことになりませんか。 全世界株型だと投資先は新興国でも、その国の限られた超大型株になります。例えば中国株だと巨大国営企業や石油会社、大手IT企業です。これらの株は中国経済の停滞やマクロ経済の波の影響を受けるリスクが高く分散効果が低いと考えています。 ※「ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2024」とは? 月刊マネー誌『ダイヤモンド・ザイ』では毎年、良い投資信託を表彰。第2回となる今回は、“新NISAで買える”好成績のアクティブ型投信30本を表彰した。本グランプリの特徴は、「5年以上の運用成績があり、みんなが買っている分野・投信に限定し、1.どれだけ上がったか(成績)、2.どんな時も下がらない(下がりにくさ)、3.ずっと優等生(成績の安定度)」の3つの基準で選定している点。完全な実力主義で評価し、「個人投資家にとって本当にイイ投資信託」かという点にこだわっている。特別枠として5年未満の好成績投資信託を厳選し、フレッシャー賞を設けている。 ※本記事は「ダイヤモンド・ザイ」2024年12月号から一部抜粋・再構成したものです。
ダイヤモンド・ザイ編集部
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