保育士10年目だけど、昇給は「2万円」! 保育士の給与は“上がりにくい”の? 民間企業との比較や退職理由も解説
国家資格である保育士は、世間からのニーズも高く魅力的な職業に映るかもしれません。しかし実際には、長時間労働や給与の低さなど、厳しい職場環境が指摘されがちです。働き方改革が叫ばれる中、保育士の待遇改善は民間企業に比べて遅れをとっているようです。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの? 本記事では、保育士の給与の実態や職場環境の問題点について解説します。働く親の味方である保育士への理解を深めましょう。
保育士の給与は上がりにくい
保育士の給与水準は、民間企業の平均と比べると決して高くありません。さらに勤続年数が長くなっても、給与が上がりにくいようです。具体的な数字を見ていきましょう。 ■民間企業平均との比較 厚生労働省が公表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、全産業と保育士の賃金は以下の通りです。 ●保育士:26万4400円 ●全産業平均:31万8300円 保育士の賃金は全体より、5万円以上低い水準となっています。 ■経験年数による給与の推移 勤務が長くなれば給与が上がっていくのが一般的ですが、保育士は上がり幅が小さいようです。厚生労働省の調査によると、経験年数による保育士の給与の推移は、図表1のようになっています。 図表1
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査より筆者作成 図表1のとおり、1~4年目の23万7200円から、10~14年目の10年間で、給与は2万7200円しか上がっていません。 長年勤務しても給与水準があまり上がらなければ、仕事へのモチベーションが低下し、退職に踏み切る人が増えても不思議ではありません。
保育士を辞めた理由
東京都福祉局による「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」によると「過去に保育士として就業した者」の「保育士を辞めた理由(複数回答)」は以下となっています。 ●1位:職場の人間関係(31.5%) ●2位:仕事量が多い(23.1%) ●3位:給料が安い(22.1%) ●4位:健康上の理由(体力含む)(20.6%) 先述した給料の低さは第3位と、保育士を辞めることを後押ししているようです。仕事量の多さから、労働時間が長くなったり、家に仕事を持ち帰ったりしなければならず、体力面の不安を感じる人も多いのかもしれません。