“武居由樹vs那須川天心”は実現するか?「彼が来るのを待っている」武居が語った“天心への本音”「やらなくちゃいけない試合だな、と」
那須川天心との対戦は「やらなくちゃいけない試合」
――さて、何といっても世界チャンピオンです。武居選手が世界を獲ってバンタム級の主要4団体チャンピオンがすべて日本人になりました。ズバリ、だれと対戦したいですか。 うーん、じつは特にないんですよね。「次はこの人」と言われて、「ああ、この人だったら盛り上がるかな」とかは思ったりするんですけど、決まる前に「この人とやりたい」という発想はないです。決まればだれでもやります。 ――では同じキックボクシング出身で、バンタム級で世界ランキング入りしている那須川天心選手とは? もし対戦すれば大きな話題を集めることは間違いありません。 天心選手だけですね。そこだけはずっと「やるんだろうな」と思っています。やらなくちゃいけない試合だな、と。タイミングがあると思いますけど、今は彼が来るのを待っているという感じです。 ――那須川選手の試合は見ていますか。 見ています。1回は生で見ました。強くなっていると思うし、もっと強くなると想像してます。彼もキックで頂点を極めて、背負っているものは大きいと思うので。だからこそもっと強くなると思ってます。 ――那須川選手との対戦以外でボクサーとして「これを成し遂げたい」という目標はありますか。 あんまりないですね。4団体統一とか、何階級制覇とか、何回防衛とか、ほとんど考えてなくて。あとは全部、決まった試合をやっていく感じかなと思っていて、それをクリアした先に何かがあるのかなと思います。
「足立区から来た武居です」に込めた地元愛
――では、まだまだ先の話ですが、現役を引退したあとのイメージはありますか。こんなおじさんになりたい、とか。 それはあります。ひとつは、八重樫さんや古川会長みたいないいトレーナーになりたいと思っています。教えるほうにはちょっと興味があるんですよ。もうひとつは居酒屋でテレビを見ながら飲んでみたいです。飲んでグチグチ言ってるみたいな、なんかそういうダメな感じのおっさんに憧れがあります(笑)。 ――下町が似合いそうなおじさんですね(笑)。武居選手は必ず「足立区から来た武居です」と言うくらいですから。 ほんとに足立区に育ててもらったので、恩返ししたいというか、盛り上げたいというか。僕らは朝から練習でタイヤをひっぱたいたり、ドンドン音を立てたりしてうるさかったと思うんですけど、近所の人たちが受け入れてくれたんですよ。「うるさい」と通報されてもおかしくない。なのに、みんな応援してくれる。近所のおじいちゃん、おばあちゃんが「昨日の試合を見たよ」と言ってくれる。だから本当に感謝してるんです。 ――それがキック時代から続けている「足立区から……」のセリフにつながっているわけですね。 ボクシングのデビュー戦のときに1回だけ「K-1から来た武居です」と言ったんですよ。そうしたらけっこう文句が出て、「足立区を捨てたのか」と(笑)。それでまた「足立区から」に戻しました。 ――世界チャンピオンになって地元にも恩返しができたと思います。 今回は試合が終わってから「泣いたよ」と言われたんです。今まであまりなかったことなので驚きました。自分の試合で泣いてもらえるんだ、感動を与えられるんだと思って、自分が感動しました。がんばってきてよかったと思いましたね。 ――次戦は9月の可能性が高いようですね。期待しています! ありがとうございます。次は必ず倒して勝ちます! <前編から続く>
(「ボクシング拳坤一擲」渋谷淳 = 文)
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