太陽を背にスイングするシャウフェレ（撮影・横山健太）

＜SHO－BLUE＞ 　21年の東京オリンピック（五輪）金メダリスト、今季メジャー2勝のザンダー・シャウフェレ（30＝米国）が、24日から開幕するZOZOチャンピオンシップ（千葉県習志野CC）への出場を前に、日刊スポーツの単独インタビューに応じた。台湾人の祖父母が東京に在住しており、日本には幼少期から度々来日。日本での思い出、世界で活躍する秘訣（ひけつ）などを明かした。そして同じアスリートの目線から世界で活躍するドジャース大谷翔平投手（30）のすごみ、ともに出場する可能性がある28年のロサンゼルス五輪などについても語った。【広重竜太郎、水次祥子、久保賢吾】 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　シャウフェレにとって日本は母が育った場所で、今も祖父母が東京・渋谷で生活する。ZOZOチャンピオンシップ出場に向け、数日前に来日し、日本の食事、文化にも触れた。 　「初めて大阪と京都に行きました。妻や家族と道頓堀を歩いて、目についた物を立ち止まってたくさん食べました（笑い）。お好み焼き、たこ焼きを食べたり、京都の寺院や温泉も楽しみました」 　米サンディエゴ出身だが、日本には幼少期から度々訪れ、数々の思い出が詰まった大好きな場所である。 　「自販機が大好きで、カードや小銭で飲み物を買うのが楽しかったです。数え切れないほど、たくさんおいしいものを食べた覚えがあるので、今でも日本の食べ物は大好物です」 　日本への愛情は深く、ツアーでは、松山英樹や今田竜二、小平智、中島啓太ら多くの日本人選手とプレーした。 　「自分の日本のイメージはシンプルだけれど、何でもこだわりがあって奥が深いという印象です。松山選手や他の日本選手とプレーする機会はたくさんありましたが、非常に規律正しく、技術が高いというイメージがあります」 　世界の猛者が集う中で、自身は今年は全米プロゴルフ選手権、全英オープンを制した。土台にあるのは、ゴルフを始めた頃から父に教わった3つの金言。積み重ねた経験、自身のプレーと過程を徹底することだった。 　「小さい頃から父親に各ショットにコミット（Commit）し、ショットを実行（Execute）し、結果を受け入れろ（Accept）とたたき込まれた。また、ツアーで長年プレーしてきた経験が自分の強みに反映されていると思います。自分のプレーとプロセスを徹底することをポリシーとして、勝利はあくまでも結果に過ぎないという信念を持っています」 　大リーグにも確固たる信念を持った男が輝いている。ドジャース大谷の歴史的な大活躍は目に耳に入ってくる。自身を大谷と比較し「（自分は）スゴイチイサイ」と日本語でちゃめっ気たっぷりに話しながら、印象を語った。 　「史上初の『50本塁打－50盗塁』を達成したのも見たけど、とてもクールでしたね。どちらかというと（地元サンディエゴが本拠地の）パドレスファンですが、テレビをつけるとみんな大谷選手のことを見たがるので、彼のプレーを見て楽しんでいます。ワールドシリーズは、ヤンキースとドジャースだね。ビッグなワールドシリーズになるでしょう」 　五輪、4大メジャーの2つを制し、世界を舞台に活躍する同じアスリートとして、共通項も感じている。 　「全てのトップアスリートは、それぞれ自分のスポーツに取りつかれたようにそのことしか考えていないという人たちだと思います。大谷選手も野球や自分のプレーのことで頭がいっぱいだと思います。そのために睡眠も非常に大事にしていますね。僕も睡眠に関しては同じです。毎晩、同じ暗さ、同じ室温を保ち、同じ枕で寝ます。ハイレベルのパフォーマンスをするには、睡眠が非常に大事だと感じているからです。そして、自分のやっているスポーツに対する情熱、愛情も共通していると思います」 　ともに国を背負った戦いにも身を置いてきた。シャウフェレは東京五輪では松山英樹らとの争いを制し、金メダルを獲得した。大好きな日本での優勝は格別だった。 　「自分のキャリアの中で最も特別な瞬間の1つ。オリンピックは（陸上の10種競技の選手として出場を目指した）父が思い入れを持っているイベントでしたし国を代表してプレーするということは大変な栄誉です。表彰台の上で国歌が聞けたことは特別な忘れられない思い出です」 　ツアーでは個人の争いだが、国を背負ってプレーする五輪では、マインドはいつもとは異なる。 　「やはり、プライドを持ってプレーします。大谷選手が日本のプライドを持って、プレーするのと同じです。自分の国のためにプレーできるというのは誇り。違うパワーやモチベーションも湧きます」 　4年後に、ロサンゼルス五輪が行われる。当然、狙うのは東京五輪以来、2大会ぶりの金メダル。東京五輪以来の復活となる野球競技では、大谷が出場する可能性もある。 　「もちろん、狙います。次はLAなので、クレイジーな盛り上がりになるでしょう。（大谷も出場すれば）とてもクールなこと。彼はWBCでも活躍しましたね。米国との決勝で当時のチームメートのトラウトと対決したのは、とてもクールでした。五輪もあれと同じ感覚を人々にもたらすと思います」 　■ZOZO CS優勝へ「状態いい」 　ZOZOチャンピオンシップでは自身初優勝を目指す。過去最高は22年の9位タイ。賞金ランク2位で挑む今大会へ「目標？　優勝です。状態はいいです。今回は早めに日本に来てリラックスし、時差ぼけも取ったので。以前の日本での大会よりも十分に準備をして臨みます」と決意を示した。 　◆ザンダー・シャウフェレ　1993年10月25日、米国サンディエゴ生まれ。15年にプロ転向。17年にPGAツアー新人王。今年5月の全米プロ選手権でメジャー初制覇、7月の全英オープン優勝。マスターズは19年2位、全米オープンは19年3位が最高成績。米ツアー通算9勝。21年東京五輪金メダル、24年パリ五輪9位タイ。178センチ、79キロ。 　◆ZOZOチャンピオンシップ　日米ツアーが共催する大会で日本国内で唯一行われるPGAツアー。衣料品通販大手ZOZOが冠スポンサー。19年の第1回大会で13年ぶり日本での戦いに参戦したタイガー・ウッズが優勝。21年は松山英樹が優勝した。今年は松山、前回大会覇者のコリン・モリカワらが出場予定。賞金総額は850万ドル（約12億3000万円）。