ダンプ装備でカルテル疑い、大手2グループに公取立ち入り…ライバルや新規参入なく寡占状態か
ダンプカーやごみ収集車などの荷台部分に取り付ける「架装物」を巡って価格カルテルを結んだ疑いがあるとして、公正取引委員会は12日午前、製造販売大手2社と子会社の2社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査に入った。 【図】いろいろありました…謝罪記者会見
立ち入りを受けたのは、「新明和工業」(兵庫県宝塚市)と子会社の「東邦車輌」(横浜市)、「極東開発工業」(大阪市)と子会社の「日本トレクス」(愛知県豊川市)の4社。親会社の2社は、いずれも東証プライムに上場している。
関係者によると、4社は遅くとも2020年9月以降、ダンプカーやごみ収集車、タンクローリー、トレーラーなど「特装車」と呼ばれる車両の荷台部分に設置する架装物の販売価格について情報交換。担当者が会合で話し合い、取引先の特装車ディーラーや運送事業者、自治体などへの販売価格を引き上げることに合意した疑いがある。
架装物の市場規模は、少なくとも1000億円以上とされる。原材料となる鋼材の価格が高騰したことが背景にあるとみられ、値上げによって各社の収益の減少を防ごうとした可能性がある。取引先には「製造コストが増加したため、価格を変更する」などと説明していたという。
架装物は土砂や石油を運搬したり、ごみを砕いて圧縮したりするなど用途に応じて多様な種類がある。新明和と極東開発の2グループでシェア(市場占有率)の大半を占めており、市場に有力なライバル会社や新規参入者が存在しないことから、自由に価格を調整できる状態だったとみられる。
24年3月期の年間売上高は新明和工業が約1518億円、極東開発工業が592億円。新明和工業は昨年9月、機械式駐車場の新設工事を巡る談合の疑いで公取委の立ち入り検査を受けており、今後は二つの容疑で同時に調査を受ける。
各社は取材に「公取委の調査を受けているのは間違いない」などと答えた。