目指すべきは3社均等な供給台数。ブリヂストン圧倒的マジョリティのGT500タイヤ戦争にスーパーGT坂東代表が見解「自動車メーカーとも話をしながら」
2024年のスーパーGTが岡山で開幕した。GT500クラスで優勝したのは36号車au TOM'S GR Supra。1位~9位を全てブリヂストンタイヤユーザーが占めた。 【動画】大湯都史樹と牧野任祐が悪だくみ……角田裕毅を襲う!? 複数のタイヤメーカーによる開発競争が特徴のスーパーGTだが、GT500のコンペティションは新たな局面を迎えた。昨年NISMOの2台にタイヤを供給して2勝を記録、タイトル争いにも絡んだミシュランがGT500のタイヤ供給を休止。NISMO勢は今季からブリヂストンにスイッチしたため、現在GT500のタイヤ供給内訳は12台がブリヂストン、2台がヨコハマ、1台がダンロップという歪みとも言える状況となっている。 特に“少数派”であるヨコハマとダンロップにとっては、その供給台数の差が開発に大きく影響し、GT500を8連覇中のブリヂストンとの差を埋めることが難しいと考えている。例えばシーズンオフのテスト可能時間に関しても、ヨコハマとダンロップを履く車両はブリヂストンよりも多くテストができるようになっているのだが、それでも圧倒的な台数差はいかんともしがたく、トータルの走行距離は台数の多いブリヂストンに分がある形だ。 スーパーGTのプロモーターであるGTアソシエイション(GTA)は、このタイヤコンペティションを今後も続けたい意向を常々示してきた。そんなGTAはタイヤメーカー間の格差が大きくなっている現在のGT500クラスにおいて、何か新たな対応策を検討しているのか? これについてGTAの坂東正明代表は、テスト時間のテコ入れだけではこの問題の解決は難しく、最終的にはブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップの各メーカーの供給台数が均等にしなければ、真のコンペティションは成り立たないだろうとの見解を示した。 もちろん坂東代表としても、15台中12台がブリヂストンタイヤを履く現状から3メーカーの供給台数を5台ずつにすることは簡単ではなく、すぐには実現できないと考えている。ただ将来に向けて、トヨタ、ホンダ、日産といった自動車メーカーともそういった議論をしていきたいと述べた。 「これは難しい話になってきてしまいますが、性能に関しては、同じ(テスト)時間を与えればそう(同じ性能に)なるとも限りません」 「将来的に見るのであれば、各社とも30%以上の市場を確保できるように、つまりダンロップもヨコハマもBS(ブリヂストン)も供給台数の割合が30%以上……そういった形でコンペティションをやっていかないと、コンペが成り立たないと思います」 「おっしゃる通り(BSユーザーが)12台という現状だと、同じ時間をとったところで、2台や1台を走らせるメーカーでは、いくらやったって12台が走っているメーカーを超えることはできません。例えば(BS)12種類のタイヤを持ってきた一方で、(ヨコハマやダンロップは)1種類や2種類……という観点からも成り立たないし、そこに“性能”という技術力の要素が絡んでくると、余計に成り立たないと思います」 「だからこそ、コンペを続けていくには、各メーカーのシェアが30%以上ということをやっていく必要があると思います。すぐにできるわけではないですし、各チームは今使っているタイヤがあるわけなので難しいのです」 「ただ(タイヤ戦略の幅が狭い)300kmレースではタイヤのハード面の性能差が顕著な一方で、350kmレースや3時間レースといったフォーマットでは戦略も違ってくると思います。そういった色々なものをチェックしながら、タイヤメーカー、自動車メーカーとも話をしていきたいです」
戎井健一郎
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