シンワル氏殺害、ガザ戦争の分かれ目となるか…「抵抗の軸」同盟強化も予想
ハマス指導者死亡の波紋
昨年10月7日に行われたイスラエルへの奇襲攻撃の中心人物であるイスラム武装組織ハマスの最高指導者、ヤヒヤ・シンワル氏が16日(現地時間)、イスラエル軍の攻撃で死亡した。1年を超えたばかりのガザ戦争が重大な転換点を迎えることになった。今回の事件をきっかけに、ガザ戦争の休戦交渉が進むだろうとの楽観論が噴出したが、イランとレバノンの武装組織ヒズボラなど「抵抗の軸」同盟が強化されるという予測も少なくない。 イスラエル軍は17日の声明で、前日にガザ地区最南端のラファで行った軍事作戦を通じてシンワル氏が死亡した事実が確認されたと明らかにした。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相も同日、映像メッセージで「ガザ住民たちがハマスの暴政から抜け出す機会が来た」と歓迎の意を表明した。 ガザ戦争の今後は、ハマス内部で強硬派に分類されたシンワル氏の死亡を機に、イスラエルとハマスなどイランの代理勢力が中東の武力衝突を止める交渉の扉を開けるかにかかっているものとみられる。米国のジョー・バイデン大統領はこの日声明で「人質を解放させ、戦争を永遠に終わらせる」機会が来たと述べた。また、ネタニヤフ首相との通話で「戦争を終わらせるためにこの機会をどのように利用するか」を議論したと、ホワイトハウスが明らかにした。ただし、ネタニヤフ首相の反応を見守らなければならない状況だ。同首相はシンワル氏の死亡について、戦争が「重要な瞬間」を迎えたとしながらも「これが戦争の終わりではないが、終わりの始まりではある」「パレスチナ人がついに暴政から自由になる機会を得た」とし、当分は攻撃を続けるという意味に解釈できる言葉を述べた。ハッサン・ナスララ師が殺害された当時、米国などがイスラエルに攻撃中止を要請したが、イスラエル軍はレバノン攻撃を続け、むしろレバノン地上戦を遂行し、ネタニヤフ首相と政権を握るリクード党の支持率が反騰した。CNNは「ハマスの完全掃討を優先しない場合、(ネタニヤフ首相が)極右連立政府のパートナーの怒りを買う可能性がある」と指摘した。 7月にハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏がイランで暗殺されたのに続き、シンワル氏まで除去されたことで、ハマスが組織運営に相当な打撃を受けるのは避けられない。先月27日のヒズボラのナスララ師暗殺に続きシンワル氏にいたるまで、「抵抗の軸」指導部が相次いで除去され、イランもまた戦略的忍耐と反撃の間で悩みが深まるものとみられる。イランはこの日、国連駐在イラン代表部の声明で、シンワル氏を「殉教者」と称え、「抵抗の精神はより一層強くなるだろう」との意志を表わした。ヒズボラもシンワル氏殺害に関して言及はせず、「イスラエルの敵との対決から新たに拡大する段階への転換を発表する」と述べた。ハマスに近いパレスチナ人分析家はニューヨークタイムズに、シンワル氏の死がハマスに「非常に大きな打撃を与えたのは事実だが、ハマスが従来の立場を変えることはないだろう」とし、「ハマスは彼らの理念をそのまま追求するだろう」と述べた。 一部でイスラエルが「従来の計画どおり」米国大統領選挙日である来月5日の前にイランへの攻撃に出るという見通しも出ている。CNNはこの問題に詳しい消息筋2人の話を引用し、「イスラエルがイランと他の『代理勢力』に接近する方式は別の作戦」だとし「イスラエルが保留中のイラン攻撃が数日内になされる可能性がある」と伝えた。イスラエルの放送局「チャンネル12」も前日、イスラエル軍がネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント国防部長官に対し、イランで攻撃する対象を決めたことを報告したと報じている。 チェ・ウリ記者、ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)