公立小中学校の1人1台端末の更新、共同調達で準備に差「供給格差」の可能性 2025年度に集中、円安による価格高騰に懸念
端末価格が高騰していることに懸念
共同調達するうえでの課題や懸念を聞いた項目では、第1期と比べて円安の影響などでGIGAスクール対応端末の単価が上がっていることから、「端末の価格が高騰している」が48%で最多だった。これまでに高単価な端末を配備してきた市区町村では、更新にあたり「キーボードカバーやペンなどの周辺機器を購入する予算が足りない」との回答も多かった。 調達予定の端末単価については、政府補助金の範囲内である5.5万円以内とする市区町村が71%を占めた。5.6万円以上は15%だが、その中でも6万円台が多く、最大で8万円台を想定していた。 その他の課題については、「Microsoft Windows、Google ChromeOS、iPadOSを適切に比較できていない」という声が多かった。 次いで「県主導のため見えないところがある中で予算などいろいろと決める必要がある」「共同調達の内容が確定されておらず先行きが不透明」「県の統率力に疑問を感じている」「(共同調達の)協議会中で県と考えの違いがあった」「県の共通仕様書は本当に年度内に出るのか。出ないと動きが取れない」「端末価格、周辺機器、保守の条件など共同調達に際し意見の調整が難しい」「入札に手を挙げてくれる業者があるのかわからない」など共同調達プロセス全般に不安を感じる声があった。 各市区町村が想定する調達予定時期ごとに台数を集計すると、2025年度に更新が集中することもわかったという。第1期もそうだったが、今後は供給面でも課題が出てきそうだ。とくに今回は都道府県単位での調達となることから案件が大型化、広域化するため、共有体制や与信の面から応札できる事業者が限定される可能性もあり、供給体制に不安が残る。 また端末の更新にあたり、改めて都道府県主導で3つのOSを比較したという市区町村は約7割にのぼったが、「OSを切り替えない」とした市区町村が64%、「OSを切り替える」が12%、「検討中もしくは未定」は24%だった。 GIGA第2期で採用したいOSを聞いた項目では、すでに採用OSを決めている市区町村が73%、「検討中・未定」「どれでもよい」など決めきれていない市区町村が27%となった。 「検討中・未定」が3割近くとなった理由としては、調査時点で都道府県からの共通仕様書が示されていないことを挙げる市区町村が多かったからではないか。採用するOSを決めた市区町村の中ではChromeOSが37%と最も多く、次いでiPadOSが21%、Windowsが13%だった。 今回調査した時点において、要望するOSごとの調達予定台数を回答したのは796市区町村(全市区町村の46%)。この市区町村が調達を予定している端末台数の合計は約367万台で、この中でみるとChromeOSが211万台(構成比57%)、iPadOSが101万台(同28%)、Windowsが55万台(同15%)だった。