「目の怪我」の応急処置はご存じですか? 眼科医が病院の救急受診目安も解説
「強風とともに目に何かが入った」「ヘアカラー剤が目に入り、痛くて目を開けられない」「ボールが目にあたった」など、目の怪我にはいくつかの種類があります。 そこで、眼科医の中村裕先生(医療法人社団裕合会 中村眼科院長)に目を怪我したときの応急処置や救急受診の目安を外傷の種類・傷病別に解説してもらいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
目の怪我の種類を眼科医が解説 外傷・打撲・異物が入るなど眼科で治療できる範囲とは?
編集部: 目の怪我にはどんなものがありますか? 中村先生: 目の怪我として多いのは、何かにぶつかったり異物が目に入ったりしたことにより、目に傷がついたり、腫れなどの症状がでたりするケースです。 編集部: 具体的に、どんな症状が出るのですか? 中村先生: 腫れのほかには、出血や充血、痛み、見えにくさ、物が二重に見えるなどの症状が出ます。 多くの場合は一時的であるのですが、ときに視力低下が進んだり、傷から感染したりすることもありますので、「大したことない」と自己判断せず、なるべく早く眼科で診断を仰ぐことをお勧めします。 編集部: あとから症状が出現することもあるのですね。 中村先生: そうなのです。とくに、打撲の場合は、受傷後半月程度(2週間ぐらい)経過してから、網膜剥離や緑内障などが出現する場合もあるので注意が必要です。 編集部: 眼科ではどんな治療をするのですか? 中村先生: 異物が入った場合、固形物であればそれらを除去し、液体であれば主に流水で洗い流します。その上で、感染対策のための薬物治療を行います。 まぶたを切った場合は、必要に応じて縫合しますし、「眼窩骨折」といって、目の周辺の骨が骨折した場合には、整復する処置が必要です。そして、視力低下や視野の異常などがないか、検査で確認します。
目やまぶた・眼球の周囲を負傷したときに多い症状は? 目の怪我で応急処置は何をすればいい?
編集部: 目の怪我の応急処置についても知りたいです。 中村先生: こちらも怪我の種類や程度、症状によって対処法は異なります。大前提として、あくまでも「応急処置」であって「治療」ではないので、その場でできる応急処置をしたあとは、必ず眼科を受診しましょう。 編集部: それぞれについて教えていただけますか? 中村先生: まず、「何かが飛んできて目に入った」などのように、固形物が目に入った場合は、水やぬるま湯で、目の表面や周囲を洗い流します。その後、早急に近くの眼科に連絡して指示を仰ぎましょう。 眼球は柔らかいので、ほとんどの場合、固形物が入ると眼球にめり込んでしまい、洗っただけでは取れません。病院にてピンセットなどでの摘出が必要な場合がとても多いのです。 編集部: 液体が入った場合も同じですか? 中村先生: 「洗剤やヘアカラー剤が目に入った」など、液体の薬剤が目に入った場合、洗い流すのは固形物と同じですが、最低でも流水で30秒~1分以上洗うことをお勧めします。 痛くて目を開けるのが難しい場合もあるかもしれませんが、できるだけ速やかに、手指で開瞼して洗い流してください。洗面器などに溜めた水で目をパチパチするのはあまり意味がありませんので、必ず流水で洗ってください。 編集部: 打撲などの外傷はどうですか? 中村先生: 「ボールが目にあたった」「コンタクトスポーツで、相手とぶつかって目を打撲した」といった場合、受傷直後に症状がなくても、念のため受診していただきたいです。視力低下や視野の異常など、明らかな症状がある場合には眼科救急外来が望ましいです。 もうひとつ大事なこととして、「目をぶつけた」と思っていても、脳や神経に影響が出ていることもありますので、頭痛や吐き気などを伴う場合には、救急外来を受診することをお勧めします。