米利下げ観測が後退、11月より前の完全織り込み消える-強い指標で
(ブルームバーグ): 米小売売上高が予想を上回る伸びとなったことで、年内の米利下げ観測がさらに後退した。15日の取引で米国債利回りの大半が年初来の高水準に上昇し、2年債利回りは5%に接近した。
スワップ市場ではデータの発表後、11月より前の利下げ開始を完全に織り込む動きが消えた。年初の時点では3月からの開始が完全に織り込まれていた。ここにきて利下げ観測の後ずれが鮮明となっている。
指標の10年債利回りは一時14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.66%と、昨年11月半ば以来の高水準となった。2年債利回りは一時4.993%に上昇。11日の取引ではいったん5%台となっていた。
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、トレイシー・チェン氏は「3月の小売売上高のようなデータが続けば、米金融当局は利下げする立場にないかもしれない」と述べた。
その上で、10年債利回りが最近4.5%を突破したのは「重要」で、新たなレンジ上限として4.75%に向けた動きが視野に入るとの見方を示した。
米小売売上高、3月は予想上回り前月も上方修正-成長を押し上げ
米国債利回りの上昇はインフレ期待の上昇と、米金融政策が以前想定されていたよりも長期にわたり景気抑制的に維持されるとの見方を総合したものと考えられる。
3月の小売売上高は、米経済の底堅さとしつこいインフレを示す最新のデータとなった。米国債投資家は強気の賭けを新たに行う前に、金融当局による利下げが差し迫っている明確で決定的な証拠を目にしたいと望んでいる。
米利下げの確信得るまで強気の賭け手控え-痛手続きの債券トレーダー
オプション市場では、小売売上高の発表を受けて国債利回り上昇に備えた動きが見られ、10年債利回りが4.65%に達することを見込むものもあった。
PGIMフィクスト・インカムの米国担当チーフエコノミスト、トム・ポーセリ氏は、米大統領・議会選を11月に控える中で、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局にとっては「日程が不利に作用している」と話す。