トランプ氏返り咲きで「友人」正恩氏は…新政権発足前に核実験の可能性も?“アメリカ第一主義の嵐”がやってくるか
「完全な非核化」から「一部核凍結」へ?
北朝鮮がアメリカと対峙する上で「核・ミサイル開発」で譲歩することは考えづらい。 まずは北朝鮮を「核保有国」と認めさせた上で、アメリカと交渉するのが北朝鮮の思惑とみられるが、礒﨑教授は「問題は、トランプ氏が(ノーベル平和賞の受賞など)レガシービルディングなどを狙って北朝鮮に譲歩の姿勢を見せるかどうかだ」と指摘する。 東国大学北朝鮮学科のキム・ヨンヒョン教授も「トランプ氏は最高指導者個人のキャラクターを重視する。“I Love金正恩”という考えは今も残っていると思う。トランプ氏は完全な『非核化』まではいかずとも核問題をこれ以上悪化させない大統領を目指すという考えもあると思う」と話す。 韓国の通信社「聯合ニュース」はトランプ氏が北朝鮮の核保有を認め、これまで各国が求めてきた「北朝鮮の完全非核化」の目標を捨てる懸念が出ていると報じている。アメリカ全土を攻撃できるICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射中断など一部の「核凍結」の対価として制裁を緩和するというシナリオも一部で取り沙汰されているとしている。 つまりアメリカを守る代わりに韓国や日本は危険にさらされるという、米韓同盟や日米韓協力態勢の根幹まで揺らぎかねない危険性をはらんでいるというわけだ。
トランプ政権発足前に7回目核実験の可能性
一方で、2期目となるトランプ政権にとって北朝鮮問題は優先度が高くないとの見方も多い。 チョ主席研究員は「2期目の政権は再選挙の負担がないため、トランプ氏が北朝鮮問題をそれほど重要と考えるだろうか。今はむしろロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の方がアメリカにとって大きな事案だ」と話す。 また、礒﨑教授も「そもそも国内外に問題山積のアメリカにとって対北朝鮮外交の優先度は高くない。そのため北朝鮮はトランプ氏の関心を引く行動が必要になるかもしれない」と語った。 そこで気になるのは、北朝鮮がいつ7回目の核実験に踏み切るかだ。 韓国の国防省は北朝鮮北東部の豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の準備はすでに完了していて、アメリカ大統領選前後に実験に踏み切る可能性があると分析していた。 キム教授は、2025年1月にトランプ政権が発足する前に、北朝鮮が核実験に踏み切る可能性を指摘し「アメリカが新しい政府を構成する過程で、北朝鮮が核能力を誇示することで交渉のためのアドバンテージをより大きくするのです。そしてアメリカと対話する可能性を打診するでしょう」と話す。