航空機の死亡事故を激減させた「ミスを処罰しない」業界ルール
「失敗」のプロフェッショナル
事故には、特定の「パターン」があるのではないか? 適切な対策をとれば、次の命を救えるのではないか? しかし医師たちにその「パターン」を知る術はなかった。その理由はシンプルだが衝撃的だ。医療業界はこれまで、事故が起こった経緯について日常的なデータ収集をしてこなかったのである。 一方、航空業界では通常、パイロットは正直に、オープンな姿勢で自分のミス(ニアミスや胴体着陸)と向き合う。また事故調査のため、強い権限を持つ独立の調査機関が存在する。 失敗は特定のパイロットを非難するきっかけにはならない。すべてのパイロット、すべての航空会社、すべての監督機関にとって貴重な学習のチャンスとなる。 このように失敗から学んでシステムを改善する方法は、旅客機にも何十年にわたって適用されており、非常に高い成果を上げている。
マシュー・サイド(ライター)