なぜ大阪女子マラでV、東京五輪代表最有力の松田瑞生は「厚底シューズ」に逆行する「薄底シューズ」で勝てたのか?
東京五輪代表の残り1枠を賭けたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ第2戦「第39回大阪国際女子マラソン」が26日、大阪のヤンマースタジアム長居発着のコースで行われ、松田瑞生(24、ダイハツ)が2時間21分47秒で2年ぶり2度目の優勝。五輪派遣設定タイムの2時間22分22秒を突破し、3人目の五輪代表の座に大きく近づいた。昨年9月の“一発選考レース“MGCで4位だった松田は、流行のナイキ製の「厚底シューズ」に逆行する「薄底シューズ」でリベンジを果たした。3月8日に行われる名古屋ウィメンズマラソンで、松田の記録を破る選手が出なければ、松田が東京五輪代表となる。また5大会連続の五輪出場を目指す福士加代子(37、ワコール)は25キロ過ぎで途中棄権。MGC3位だった小原怜(29、天満屋)は13位に終わった。
ハイペース「後ろを振り向くのが嫌い」
突き破った。ケチのつけようがない時計と圧巻のレース内容。地元大阪の大歓声を受け、スタジアムに戻って来た松田はその声援に応えるかのように腕を大きく振り、ストライドを伸ばす。邪魔をする者は誰もいない。ゴールの瞬間には右手を浪速の空へ突き上げた。 「ウソみたいです。本当にうれしい。このレースで無理だったら、やめていいなと思うくらいの気持ちでスタートラインに立った。それぐらい必死で練習を積んできたから」 悔いは残したくない。4着に敗れた昨年9月の五輪代表選考会「MGC」の教訓をいかし、序盤から飛び出した。ハーフマラソンで日本記録を突破したばかりのペースメーカー、新谷仁美(31、積水化学)をあおるほどの行きっぷり。 平たんな高速コースとはいえ、1キロ=3分20秒前後のハイペースに早くも17キロすぎに小原が置いていかれ、20キロ手前に福士も先頭集団から脱落。その後25キロ付近で棄権した。 1時間9分54秒での中間点通過に「自己ベスト。ウソやん、速いで、と思った」という。だが、「このままやったら行ける」と確信。先頭を譲ることなく、ひたすら前を見つめて走り続けた。 「後ろを振り返る選手が大嫌い。後ろ向くぐらいなら走れや、と思う。相手は眼中になかった」 31キロすぎに仕掛け、一気に2位になったバーレーンのミミ・ベレテを突き放す。これには自国で五輪切符を手中にしている実力者も、「彼女は相当練習していたのだろう。驚いた」と脱帽したほど。独走態勢になってから、2時間22分22秒との戦いになった。ややペースダウン。野口みずきが持つ2時間19分12秒の日本記録更新こそならなかったものの、歴代6位の好タイムで五輪派遣記録をきっちりとクリアした。 「お姉ちゃんから瑞生が一番月桂冠が似合うとLINEがあった。日本記録を目指して走っていたので時計は最低限かな。でも、大阪を選んでめっちゃ良かった。沿道の声援、口はあんまり良くないけど、温かかった」 記者会見は素のままの松田。大阪弁で豪快に笑った。