子宮頸がんなど防ぐHPVワクチン 「知らなかった」で後悔してほしくない
先月(2024年8月)の接種件数は364件と、調査開始以来もっとも多くなりました。キャッチアップ接種の期限が迫っているため、駆け込みで接種する人が急増しているのだといいます。 同サイトでは、接種者一人ひとりの「接種希望理由」(何をきっかけに接種しようと思ったのか)、「接種直後の状況」(接種した直後の体調)が公開されています。勝田准教授は「『お友達が打った、隣のお姉さんも打った』と聞くと、『みんな意外と打ってるんだ……自分も打とうかな』と思ってもらえるのではないでしょうか。正しい情報を得たうえで判断してほしい。『知らなかった。有料**だから打てなかった』は避けたいのです」と話します。 ** キャッチアップ接種の期限を過ぎ、自費でHPVワクチンを接種する場合、医療機関により異なるが、3回で10万円程度の費用がかかる(9価ワクチンの場合)。
◇「旦那さんとお子さんを残して天国に行っていいの?」
実は、同サイトは先行して「静岡HPVワクチン接種推進プロジェクト」として開発・運用されていたシステムを神奈川県でも導入したものです。日本小児科学会 神奈川県地方会の代表幹事でもある伊藤秀一主任教授は、HPVワクチンの接種をすすめる理由を次のように語ります。 「子宮頸がんは子育て世代の母親が子どもを残して亡くなるケースも多く、別名“マザーキラー”とも呼ばれています。日本では毎年約3000人の女性が子宮頸がんによって亡くなっており、その多くは20~40代です。このままHPVワクチンの接種が進まなければ、10~15年後、世界中で日本の女性だけがたくさん子宮頸がんで亡くなります。それは“どこかの誰か”ではなく、女性であればあなた自身かもしれないし、男性であれば大切な奥さんや娘さんかもしれません。私は常日頃からキャッチアップ接種世代と定期接種世代の女性に『旦那さんとお子さんを残して天国に行っていいの?』と問いかけています。小児科医として正しい知識を子どもたちと保護者に伝え、防ぎうる悲しい死を防ぎたいと思っています」
◇キャッチアップ接種を受けるには
・対象:誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日の女性 ・期間:2025年3月末まで 3回のHPVワクチンの接種を無料(公費)で受けるためには、今年(2024年)9月末までに接種を始める必要があります。かかりつけの産婦人科などの医療機関で相談してください。キャッチアップ接種のための接種券はお住まいの市区町村から発行されます。もし手元にない場合は、接種前にお住まいの市区町村に相談してください。
メディカルノート