日本の食料自給率は公称の38%ではなく18%だという事実。政府が隠す、世界128位というあまりにも低い食料自給率の本当の計算方法
日本のカロリーベース食料自給率は、世界182か国・地域中、128位
全体的に見ると、自給率が100%以上の国が33か国、100%未満が149か国・地域である。100%未満が全体の82%に達する。2019年と比べても大きな変動はないが、国民が必要とするカロリーを自前で賄える国はわずかである。 日本のカロリーベース食料自給率は、世界182か国・地域中、128位の18%にすぎない低さである。 日本の低自給率は、畜産物を育てるために膨大な量が必要な飼料用のトウモロコシが輸入100%なのをはじめ、消費量が世界屈指である大豆・小麦の大部分、同じく大麦やソルガム・ミレットをほぼ100%輸入に依存していることから起きている。 人口減少や食生活の洋風化から消費が落ち込んでいるコメでさえ、アメリカの顔を立てるため以外の理由が見つからないなか、毎年70万トン程度を輸入している。 また、国内消費の牛肉・豚肉・鶏卵・酪農製品の多くの部分を輸入に頼っていることから、これら畜産物の飼料となる穀物(主にトウモロコシ)に換算すると、ゴム風船のように膨らむ穀物輸入が、自給率を押し下げる理由となっている。 日本以外の先進国の中でカロリーベース食料自給率が低い国・地域を挙げると、韓国が世界133位の13.9%、台湾が134位の13.7%、イギリスが98位の41.1%、イタリアが101位の39.2%、スイスが112位の28.7%、オランダが148位の4.7%などが際立っている。 日本を含むアジアやヨーロッパの工業国・地域は、食料自給率を犠牲に、工業化・近代化に舵を切りすぎたきらいがある。この点、イタリアやオランダはEU加盟国でありEU全体の食料生産の分業体制の下で食料供給が制度的に保障されており、このデータを試算した2020年段階では、まだEU加盟国であったイギリス農業も同様の環境にあったので、低いとはいえ日本と比べると安定的な食料安全保障が保たれている。 EU未加盟のスイスの場合、これらの国とはやや事情が異なる。地政学的・自然環境的に、スイスは穀物生産には不向きな点が多々あることが、低自給率をもたらす大きな理由と考えられる。こうした環境の下で、同国は非同盟であることを海外からの安定した食料輸入を保障する担保としているようにみえる。 一方、カロリーベース食料自給率が高い国として、ウクライナのほかガイアナ・パラグアイ・ウルグアイ・カザフスタン・アルゼンチン・ブラジル・オーストラリア・カナダ・ロシア・フランス・アメリカなどが挙げられる。いずれも、小麦・トウモロコシ・大豆の有数の生産国であり輸出国である。