【九州国際大付－浦和学院】八回表九州国際大付2死満塁、佐倉が左前適時打を放つ＝阪神甲子園球場で2022年3月28日、北山夏帆撮影

　第94回選抜高校野球大会は第9日の28日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準々決勝があり、九州国際大付（福岡）は浦和学院（埼玉）に3―6で敗れた。九州国際大付の注目の2年生、4番・佐倉俠史朗一塁手が八回に一時同点となるタイムリーを放ったが、勝利には届かなかった。 【手に汗握る熱戦　浦和学院vs九州国際大付を写真で】 　　　◇ 　周辺で桜が見ごろを迎えた甲子園で、「サクラ」が散った。「2年生四天王」の一角として注目された182センチ、104キロの大型スラッガーは、終盤の同点打で4番の役割を果たしたものの、勝利には導けなかった。 　1点を追う八回2死満塁。左打席に入り、2ボール1ストライクのバッティングカウントから浮いた外角直球を左前に合わせるように流し打った。三塁走者が還ると、右腕を突き上げてガッツポーズ。昨秋の公式戦で5本塁打を放った長打への意識を捨て、口にし続けた「チャンスで1本打つ」という打撃を土壇場で実践した。楠城監督も「1回戦は大振りしていたが修正した」とメンタルをコントロールした2年生をほめた。 　だが、この場面、二塁走者は左翼手の好返球で生還できず、同点止まり。直後の守りで3ランを浴びて敗れ、胸中には新たな誓いが生まれた。「八回にもっと強い打球で、外野の間を抜けるような当たりを打てたら逆転できた。もっと高みを目指したい」 　楠城監督が「チームの雰囲気をがらっと明るくした」と目を細めるムードメーカー。エース左腕の香西が「いつもお菓子を食べている」と冗談めかして人となりを語るなど、先輩からもかわいがられる。寮では火災報知機が鳴っても起きなかったという逸話もある大物だ。 　もっとも、本人は「チームを勝たせる打撃」こそが自分の存在意義だと信じている。甲子園での計3試合は「勝ったうれしさより、負けた悔しさの方が大きい」。打撃を満開にできなかった悔恨をさらなる成長につなげていく。【吉見裕都】 　◇全31試合をライブ中継 　公式サイト「センバツLIVE！」（https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022）では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」（https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/）でも展開します。