「自民党から呼び出しくらって」「仕方なく東大」…マウンティングの沼に迫る 〝やってはいけない〟投稿は
マウンティングをさせる力
マウンティングポリスさんは「マウンティング〝させる〟力」が大切だと紹介する。 自分がマウンティングをするのではなく、相手に気持ちよくマウンティングしてもらうことで、円滑なコミュニケーションを実現できると説く。 根底にある思いは、『マウンティング大全』の帯のメッセージに記されている。 <マウンティング欲求からは自由になれないがマウンティング競争からは自由になれる> 「マウンティングを自分のものにすることで人間関係がスムーズになる。それは確実に現場の生産性を向上させます」 さらに、「いいマウンティングは相手への尊敬の念が入っている」とも強調する。例として挙げたのがこちらのマウンティングだ。 <音楽の道を目指したこともあったが、レベッカの演奏を聴いてコンサルになった> 「こんな風に相手を立てつつ、マウンティングができるようになれたら、最高だと思いませんか?」 『マウンティング大全』では「武器としてのマウンティング術」として、相手の発言に対して「まさに何々さんの仰る通りでして……」と、「共感」の気持ちを表したり、「門外漢なもので大変恐縮ですが……」と、「謙遜」のスタンスで会話をスムーズに進めたりする技術が紹介されている。
〝痛い〟マウンティング
今後のマウンティングはどうなっていくのか。マウンティングポリスさんが注目するのが「サステナビリティ」と「マウンティング」の融合だ。 「現在、アメリカで広まっているのが、『資金調達をあえてしない』マウンティングです。成長企業と目されることを自慢するのではなく、投資家に左右されない自分らしさを大事にする。あるいは、それができる立場にあることをマウンティングする。同じように、社員数の少なさを強調するなど、社員がいないことをマウンティングするケースもあります。これらは、規模の大きさだけを正解としない、持続可能性を重視するサスティナビリティー社会の価値観を反映したものだと思われます」 ビジネスシーンにおけるマウンティングにおいて「アメリカのブランドは健在」だというマウンティングポリスさん。 「たとえばニューヨークは、留学時代の思い出から、駐在経験、急な出張にいたるまで揺るぎないものがあります」 今後のマウンティングの未来について考える上でもアメリカにまつわる国際情勢は重要だという。 「このまま、アメリカ一強が続くのか。中国の存在感は常にマークしておかなければいけませんし、エンタメ業界の流れから韓国を絡めたマウンティングが広まる可能性は十分あります」 取材の最後、マウンティングポリスさんはあえて『マウンティング大全』に収録しなかったマウンティングについて教えてくれた。 それは人の不幸にからむこと。 「有名人が亡くなった直後、生前、どれだけ親しくしていたかをアピールする投稿が散見されます。あるいは、『9.11』に合わせて、当時、ニューヨークで手がけていた仕事を振り返る。これはいけません。マウンティングは、社会的動物である人間がコミュニケーションを円滑にするための道具であるべきなのに、それを阻害する〝痛い投稿〟になってしまう。Facebookで、過去の投稿を振り返るメッセージが現れたら、すぐに食いつかず、一度、落ち着いてみることをおすすめします」