鈴木亮平×森田望智が語る『シティーハンター』。"はじまりの物語"に詰め込んだこだわりは?
――しかもお隣にはマニアックな方(鈴木さん)がいる状況ですし。 鈴木 ごめん! ほんとやりにくいよね(笑)。 ■神谷明の冴羽獠から離れられなかった ――『シティーハンター』は北条司先生の漫画原作のほか、アニメ版も人気です。後続の関連作として『エンジェル・ハート』もありました。 鈴木 (突然、前のめりで)熱いっすね、先輩! わかってますね! ――ありがとうございます(笑)。本作は香港版、韓国版、フランス版などの実写映画も作られてきました。そんな中で、鈴木さんはご自身の『シティーハンター』、冴羽獠をどうやって構築していったんでしょうか? 鈴木 初期段階でプロデューサーや監督と何度も会議を重ねました。そこで、まず大きなテーマとしてあったのが、"はじまりの物語"をやるということ。これは香港版、韓国版、フランス版でもやっていないことだったんです。 そして「今の時代に日本で『シティーハンター』を作る意味ってなんだろう?」とも考えました。結論としては「より本物感を目指そう」「キャラクターたちが本当に新宿にいそうなリアリティを出そう」っていう方向になりました。 それはいわば北条先生が最初に考えられた漫画版の世界観なんですけど、とはいえ、原作原理主義でやってしまうのもまた違うな、と。 原作の初期の頃はかなりダークな雰囲気でコメディ要素もそんなにない。世の中が思う『シティーハンター』らしさとはかけ離れてしまう......。 そこで、原作に描かれていた冴羽獠、槇村香、香の兄である槇村秀幸という関係性は保ったまま、アニメや原作漫画の中盤のノリを混ぜ合わせた、絶妙なバランスを模索して突き詰めていった感じです。 ――冴羽獠といえばアニメ版の声優・神谷明さんの演技のイメージが強く残っています。 鈴木 最初は神谷さんの演技から離れようと思っていたんです。自分なりの獠にしたいという思いが強かったので。ところが実際に演じてみると......自然に神谷さん風の言い回しになってしまうんです。 だって、台本に「もっこりちゃん!」って書いてあったら、もう神谷さん調の「もっこりちゃん!」しか出てきませんよ(笑)。だからクランクイン2、3日目で「もう諦めよう!」と思って、それからは自然に演じましたね。