良心的な保険会社はT&Dとライフネット生命 ベストは都道府県民共済グループ
ベストワンの生保はどこ?
第1位は、保険会社ではなく、都道府県民共済グループだ。 これに違和感を覚える読者の方もいらっしゃるかもしれない。 確かに、都道府県民共済グループは保険会社ではない。しかし、都道府県民共済グループが提供している「生命共済」は、保険会社が販売する生命保険と、本質的に変わらない。 共済は、「大勢の人が少しずつお金を出し合う」ことで、死亡や入院など、歓迎したくない事態に備える仕組みである。「相互扶助」を本質とする点において、保障目的の保険と変わらないし、「相互扶助」とは、そもそも保険の本質であり、保険の最も優れた特質であると筆者は考える。そして都道府県民共済の開示情報を確認すると、相互扶助の仕組みが、おそらく最も良心的に運営されている事実がわかる。 ●還元率の高さで頭抜けている 都道府県民共済のサイトにアクセスして、「全国生協連について」「事業と決算の概況」と順にクリックしていくと、「保険料」に当たる「掛金」がどのように使われたのかという開示情報が得られる(*1)。 大まかに近年の傾向を書くと、掛け金(*2)の13%弱が運営費(*3)となり、50%強が給付金の支払い(*4)に使われている。また、剰余金(*5)の90%くらいが割戻準備金に繰り入れられ、加入者に還元されている。結果として、共済掛金などの収益(経常収益)のうち、加入者に還元されるお金は80%を超える(*6)とわかる。つまり「加入者側への給付」に回るお金の割合が高いのだ。 同共済は、2000円程度の掛け金で死亡や入院に備える「生命共済」が主力であるなか、経費率(運営費の比率)は低く、剰余金の払戻率は高い。詳細は省くが、筆者が知る限り、CO・OP共済(コープ共済)など、他の共済と比べても、掛け金の還元率の高さで頭抜けている。 生保商品全般について「お金を用意する手段として見ると、とてもコストが高い。必要最小限の利用が望ましい」と明言した商品設計の専門家が、「都道府県民共済はよくやっている」と評したことも付記しておく。 保険は、お金(保険料)を払って、お金(各種給付金)を受け取る仕組みである。したがって、商品選びにおいて「お金の流れ」は、極めて重要な判断要素となる。読者の皆様にもぜひ、「加入者に還元されるお金の割合」に関心を持っていただきたい。 *1 具体的には、「全国生協連・県民共済グループの現況」に置かれたPDF資料「全国生協連・県民共済グループの現況(2022年度版)」のうち、「Ⅲ 組合の主要な業務に関する事項」を中心に参照 *2 資料では「受入共済掛金」 *3 資料では「事業費」 *4 資料では「支払共済金」 *5 資料では「経常剰余金」 *6 還元率は「給付率+割戻率」。給付率は「支払共済金÷受入共済掛金×100」、割戻率は「割戻引当金÷割戻対象掛金×100」として計算。2022年度は86.9%
後田 亨