<甲子園交流試合・2020センバツ32校>平田、やり切った夏 夢舞台、ナイン躍動 /島根
学校史上初の甲子園で「勝って校歌を歌う」という目標はかなえられなかった。阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)での「2020年甲子園高校野球交流試合」(センバツ交流試合)第2日の11日、平田は創成館(長崎)と対戦した。主戦・古川雅也投手(3年)が粘投して接戦に持ち込んだが、終盤に加点され0―4で敗れた。全力を尽くした選手たちに、保護者らはスタンドから温かい拍手を送った。【小坂春乃】 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 平田は序盤、先発の古川投手の内角攻めのコントロールがさえ、守りのリズムを作った。三回には保科陽太(ひなた)主将(同)が中前打で出塁。三塁側スタンドで祈るような気持ちで見守っていた保科主将の父卓哉さん(40)は「打った瞬間、ガッツポーズです」と声を弾ませた。だがその裏、相手リードオフマンの適時打で先制を許す。 古川投手が走者を背負いながらも打たせて取って粘る中、ナインが信条である「攻めの守備」を発揮したのは六回1死一塁の場面。三塁への鋭い当たりを高橋大樹選手(3年)が好捕、5―4―3の併殺を決めるとベンチもスタンドも沸き立った。だが打線が相手投手を捉えられないまま、4点を追いかけて九回へ。三塁を踏めないままゲームセットになった。 初出場での白星はならなかったが、古川投手の父で保護者会長の豊さん(48)は「球場の土をみんなが踏みしめた瞬間、涙が出た。勝つだけが試合ではない。選手はよくやってくれたし、すがすがしい」とたたえた。 悔し涙とやり切った笑顔がないまぜの平田ナイン。新型コロナにほんろうされた春と夏に耐え、聖地に平田の名を確かに刻んだ。 ◇中継見てエール ○…平田高(出雲市平田町)では、生徒や教員計約450人が、新型コロナ対策のため各教室に分散してスクリーンに映し出されたテレビ中継映像を見ながらナインにエール。マスク着用での応援だったが、選手が活躍する度にチームカラーの黄色いメガホンをたたくなどして盛り上がった=写真。試合には負けたが、生徒会長の安食拓海さん(18)は「平高らしいプレースタイルを見せてくれた。選手たちには『地域を盛り上げてくれてありがとう』と声をかけたい」とねぎらった。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇投打で粘り貫く 古川雅也投手(3年) エースナンバーを背負い、甲子園のマウンドに立つと、バックネットの大きさに驚いた。「いつもだったら観客がいっぱいで緊張するだろう。(無観客なので)緊張しなかった」。持ち味の内角攻めで相手打線をきりきり舞いさせた。 だが強い日差しに体力が徐々に消耗、六回以降は球が浮き始めた。七回にこの日初めての長打を許し、八回には犠飛を挟んで3連打を浴びた。100球あまりを投じたところで「頼む」と一声かけて高橋大樹選手(3年)にマウンドを譲った。 新型コロナによる休校期間中はウエートトレーニングで下半身を強化し、スタミナ不足を自覚した夏の県独自大会後には厳しい走り込みに取り組んだ。 九回の打席ではファウルで粘った後の9球目を振り抜いて左前打。投打にわたって努力を重ね、粘る姿勢を貫いた。「やり切った思いが強いが、まだまだ努力が足りない」。憧れの地でのプレーを果たし、さらに先を見つめた。【小坂春乃】 ……………………………………………………………………………………………………… 平田 000000000=0 00100012×=4 創成館