『マダム・ウェブ』完全ネタバレ解説 3人の少女はどうやってスーパーヒーローになる?
最初は『ターミネーター』みたいな話だった?
この映画において、“ベンに甥っ子が生まれる”という状況が割と重要なパートを占めていますが、もともと本作のアイデアは、エゼキエル(タハール・ラヒム)がピーターという若者が将来スパイダーマンになり、自分にとって脅威となることを予知し、赤ん坊だったピーターを狙う。それを阻止するため、キャシーたちが戦うみたいな話だったそうです。ただ、これではあまりに『ターミネーター』なので変更されたとか。 原作コミックでは確かにエゼキエルは蜘蛛の力をめぐってピーターに絡んでくるので、この初期アイデアはそれなりにスパイダーマン・ストーリーを踏まえたものだったのかもしれません。ただし、コミック版のエゼキエルはこの映画のように“黒いスパイダーマン”みたいな姿にはなりません。劇中、最後の戦いで、電光看板の文字のSとかPが落ちてきて、エゼキエルにとどめを刺します。SとPは、SPIDER-MANの最初の2文字ですよね。こういうところに蜘蛛の運命を感じます。
「大いなる力には……」のアレンジ
スパイダーマンと言えば、「大いなる力には大いなる責任が伴う(With great power comes great responsibility)」というフレーズ。この映画ではちょっと違ったバージョンで登場します。キャシーがペルーに行った際、ラス・アラニャスの導師から授かる言葉は「大いになる責任を引き受けた時、大いなる力が宿る(When you take on the responsibility, great power will come.)」でした。 また、映画の最後で、少女たちとの会話の流れからキャシーがベンの責任感について、ちょっと意味深なコメントをします。スパイダーマンにおける重要なフレーズ「大いなる力には大いなる責任が伴う」は、もともとピーターとベンおじさんとの関係の中で発せられるわけです。従って“ベン”と“責任”ということについて、キャシーの中でなにかひらめくものがあったのかもしれません。